口唇・口腔内の損傷とはどんな外傷か

 口の周囲および口のなかを損傷するもので、切創(せっそう)、割創(かっそう)、擦過創(さっかそう)、咬創(こうそう)、挫滅創(ざめつそう)、刺創(しそう)や熱傷(ねっしょう)などがあります。

原因は何か

 犬による咬創が口の周囲に多くみられます。犬が本能的に攻撃する部位にあたるためです。バイクや自転車で転んだ時の挫滅創や擦過創は、皮膚の直下に骨のある上唇によくみられます。
 幼児では箸(はし)による刺創があり、高温の食べ物、飲み物による熱傷も時にみられます。高齢者では不適当な義歯(ぎし)による一種の褥瘡(じょくそう)が歯槽部(しそうぶ)(はぐき)に生じます。
 自分の歯で頬部(きょうぶ)粘膜を咬んだり、下唇を傷つけたりすることがあります。

症状の現れ方



 犬による咬創は、口唇周囲の切創図22・左)、刺創、割創の状態で生じます。バイクなどの転倒事故では擦過創が多く、適切な処置をしないと傷が道路の砂などを含んだまま治って、青色の外傷性刺青(しせい)となって残ります。
 幼児では箸、先のとがった玩具などが転倒などの拍子に突き刺さり、折れてなかに取り残されることがあります。当初は気づかなくても4〜5日後に発赤、はれ、感染を生じます。

検査と診断

 事故が明確な時は原因、診断が容易です。家族のいあわせない時の幼児の事故では現場をよく観察し、玩具などの破損の有無をチェックします。異物混入にはMRI、CT検査が必須です。

治療の方法

 全般的な傷の汚染のため、破傷風(はしょうふう)抗毒素血清の注射が必要なことがあります。


 深い切創、割創は筋層、皮膚と二層に縫合します(図22・中)。外傷性刺青の生じやすい擦過創は、ただちに異物をブラシで洗浄除去します。それでも刺青が生じた場合は、後日ルビーレーザーやアレクサンドライトレーザーで治療すると著しく改善します。
 箸や先のとがった玩具などの異物の存在がわかれば、手術的に摘出しないと長期間感染が続きます。