腎臓損傷とはどんな外傷か

 腎臓は後腹膜腔(こうふくまくくう)に位置し、両下部肋骨、骨盤、後側方は厚い筋肉群により囲まれているため、いずれの方向からの外力によっても損傷を受けにくい臓器です。
 かつては、腎臓は2つ存在することから安易に腎臓摘出術が行われていましたが、今日では片側の腎臓の損傷であってもできるだけ腎臓を温存する治療法が選択されるようになってきています。

原因は何か

 日本では、ほかの臓器と同様に刺創(しそう)や銃創(じゅうそう)による損傷はまれであり、転落や墜落時の後方からの外力によって損傷を受けることが多くなっています。したがって、後方の下部肋骨骨折や腸骨骨折を合併する頻度が高くなっています。

症状の現れ方

 受傷直後から腰背部痛と肉眼でもわかる血尿が認められます。後腹膜腔への出血が増えることにより痛みは激痛となり、血圧は低下します。

検査と診断

 受傷機転(原因)と症状により、容易に腎臓損傷が疑われます。
 造影CTにより腎臓損傷の形態学的異常、腎臓周囲の出血や尿漏れの程度を把握することができます。造影CTにより造影剤の漏れがみられる時や尿漏れがみられる時、あるいは片側の腎臓がまったく造影されない時には、血管の撮影を行います。

治療の方法

 肉眼でもわかる血尿が軽く、血圧が安定している時には経過観察とします。
 輸液により血圧が安定するならば、造影CT検査を行います。造影剤の漏れがみられる時には、患者さんを血管撮影室に移して、血管造影を行います。造影剤の漏れがみられる時には、その動脈をコイルなどで詰めて止血します。
 輸液によっても血圧が安定しない時は、腎臓動脈か腎臓静脈の本幹の損傷であり、緊急手術が必要になります。
 たとえ血圧が安定していたとしても、片側の腎臓がまったく造影されない時や腎盂尿管(じんうにょうかん)移行部の損傷の場合は、緊急手術が必要になります。