けんさかんせつだっきゅう肩鎖関節脱臼の症状や原因・診断と治療方法

肩鎖関節脱臼とはどんな外傷か

 肩鎖関節は、鎖骨と肩甲骨(いわゆる貝殻骨)が接している場所で、肩鎖関節にある肩鎖靭帯(じんたい)と、その内側にある烏口(うこう)鎖骨靭帯(菱形靭帯と円錐靭帯の2本をまとめた名前)の3本の靭帯(骨と骨を結ぶ強い紐状のもの)が、互いの位置を一定に保ち、関節がずれることを防いでいます。
 肩に無理な力が加わってこれらの靭帯が損なわれると、肩鎖関節がずれます。靭帯が傷んだ程度によって関節のずれの程度が決まります。
 従来は関節の上下方向のずれの程度によって捻挫(ねんざ)・亜脱臼(あだっきゅう)・脱臼の3型に分類していましたが、現在では関節を囲む筋肉の損傷の程度やずれの方向によって、脱臼をさらに4つの型に分ける分類法が主に用いられ、治療方針が決められます(図53)。

原因は何か

 大部分は、転んで肩の外側を強く打つことが原因です。ごくまれに、腕を上方や前方あるいは外側に強く引っ張られることで生じます。

症状の現れ方

 最初の症状は、肩鎖関節部(肩上面で外側)の安静時の痛み、押した時の痛みと腕を動かす時の激しい痛みです。少し時間がたつと、はれによりこれらの症状が強くなります。
 大きくずれた場合は、鎖骨が上方に突出しますが、時間がたつと周囲のはれのために、突出は明確には認められなくなります。

検査と診断

 鎖骨の上方突出、鎖骨の外側を上から圧した時のピアノの鍵のような上下の動き、肩鎖関節部に限られた押した時の痛みなどで診断されます。
 検査は、立った位置で方向を変えて撮影するX線検査が基本です。必要に応じて、3〜4kgの重りを手首から吊るして撮影するストレス撮影や、他の撮影法を追加することもあります。

治療の方法

 捻挫は、3〜4日間ほど三角巾で手を吊り安静を保ったのちに、徐々に温熱を加えながら関節の動きをもどします。2〜3週間で日常生活動作に支障がなくなります。
 亜脱臼では1〜2週間ほど三角巾で手を吊り、その後徐々に関節の動きをもどしながら関節周囲の筋力の回復訓練を行います。2カ月間は重い物を下げたり、体を接触させるスポーツは禁止です。
 単純な脱臼(図53のIII型)では、中年以降の事務・管理職には亜脱臼に準じた保存療法が、活動的な若者・重労働者や手を挙げて仕事をする人には手術が行われます。
 手術は、損なわれた3本の靭帯を修復し、ずれた関節を正しい位置にもどすことが目的です。手術方法には多くの種類があり、医療機関ごとに得意とする方法で行われています。特殊な型の脱臼(図53のIV・V・VI型)は全例で手術が必要ですが、方法は単純な脱臼に対するものと同じです。手術後約3カ月間は靭帯が十分な強さまで修復されないので、重量物の持ち運びや体が接触するスポーツはできません。
 治療成績について、結果を正確に比較検討した報告はありませんが、どの治療方法でも90%以上の患者さんが結果に満足しています。

応急処置はどうするか

 痛みの強い時には、三角巾(風呂敷・スカーフを三角形に折ったもので可)で手を吊り、痛む場所を氷などで冷やします。少なくとも2〜3日以内に整形外科を受診してください。

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