肩関節脱臼<外傷>の症状の現れ方

 けがの直後に激しい肩の痛みがあり、脱臼の方向によって腕は特徴的な位置に固定され動かなくなります。前方脱臼では肘が体の前・横方向に離れ、後方脱臼では肘は体についたままですが、腕全体は内側にひねられています。下方脱臼では腕を横に挙げた状態で、下には下がりません。
 亜脱臼では、初めは前に述べたように腕が固定されますが、体を動かした時に肩がぐりっと動いて急に痛みが楽になり(自然に脱臼がもどる)、肩が動くようになります。
 デッドアーム症候では、数分間痛みで腕が動かないのですが、その後は徐々に動くようになります。いずれの場合も肩を動かした時の痛みが数日〜1週間程度続きます。

肩関節脱臼<外傷>の診断と治療の方法

 脱臼をもどす(整復という)方法は多種ありますが、さまざまな危険があるため現在一気に整復する方法は行われず、ゆっくり時間をかけて整復します。
 ベッドの上に腹ばいになった患者さんの手首に重りを付けて引っ張る方法や、床の上にあお向けになった患者さんの腕を引っ張りながら徐々に上に挙げていく方法が代表的です。下方脱臼だけは整復方法が異なり、腕を最大に挙げた位置で上に引っ張ります。
 しかし、一部の患者さんはこれらの方法では整復できず、全身麻酔や手術が必要になることもあります。整復後は再びX線撮影し、伴っている骨折部分が大きくずれたままであれば手術を行います。
 その他の場合は、腕を三角巾などで3週間以上固定しますが、固定する腕の位置は脱臼の方向によって異なります。
 その後、徐々に肩の動きを回復させますが、脱臼を起こさせる方向の運動は6〜8週間禁止されます。脱臼に伴い損なわれた関節包などが十分に修復されない場合は、容易に脱臼を繰り返す状態(反復性肩関節脱臼と呼ぶ)になり、手術以外に対処法がなくなります。
 脱臼してから2〜3週間までは前述の方法で治療できますが、それ以上時間がたつと整復には手術が必要になります。脱臼してから整復までの時間が長くなればなるほど、治療の結果も悪くなります。
 また、後方脱臼は医療機関を訪れても最初は約60%が見逃されます。したがって、最初に訪れた医療機関で肩の痛みの原因に対する十分な説明がされず痛みが持続する場合は、セカンド・オピニオンを求めることをすすめます。