挫滅症候群とはどんな外傷か

 挫滅症候群は、筋肉が持続的に圧迫されたために血流障害が起こり、その筋肉が麻痺を起こすだけではなく、横紋筋(おうもんきん)の融解(ゆうかい)によって、高カリウム血症、ミオグロビン血症、凝固障害(ぎょうこしょうがい)、腎不全(じんふぜん)などの全身的な異常を示す症候群です。

原因は何か

 阪神・淡路大震災では、倒壊した建物や家具の下敷きになって多発し、注目を集めました。このような災害以外では、まれに交通事故などで何かにはさまれ、救出までに時間を要した場合にも発症します。

症状の現れ方

 両下肢の挫滅症候群では、両下肢が麻痺していることから脊髄損傷(せきずいそんしょう)と誤診されることがあるといわれています。しかし、腹壁の知覚鈍麻(どんま)がなく、下肢の知覚・運動障害は少なくとも多少の左右差があること、損傷部がはれていることなどから、区別はそれほど困難ではありません。
 意識がはっきりしていて、血圧が保たれていると、一見軽症にみえますが、崩壊した筋肉から放出される大量のカリウムにより、突然、心停止に陥ることがあります。

検査と診断

 診断は、はさまれていた、下敷きになっていた、という受傷機転(きっかけ)と損傷部の腫脹(しゅちょう)(はれ)、知覚・運動麻痺だけからでも可能ですが、導尿により、赤褐色のミオグロビン尿を認めれば確実です。
 検査では、代謝性アシドーシス、血液濃縮、高カリウム血症、高クレアチンキナーゼ血症、低カルシウム血症、凝固障害などの異常が現れます。

治療の方法

 乳酸加リンゲル液の大量輸液による体液・電解質の補正を行います。高度で持続する高カリウム血症には、緊急の血液透析(とうせき)が必要です。
 損傷肢の腫脹は、時間がたつとともに進行します。組織圧が50mmHgを超えれば減張切開(げんちょうせっかい)(組織の圧力を抜くための切開)を行います。
 外傷を負ってから救出までに時間がかかり、治療が遅れた場合は、軽症でも腎不全が必ず起こります。阪神・淡路大震災では、腎不全に陥ったあと、さらに肺水腫(はいすいしゅ)を合併して被災地の病院から転送されてくる患者さんが多数いました。
 レスピレーター(人工呼吸器)による呼吸管理と人工腎による血液浄化を行うことで、腎機能は通常2〜3週間で回復してきます。