起立性低血圧症とはどんな病気か

 起立性低血圧症は体位変換時、とくに臥位(がい)(寝た状態)や座位から急に立ち上がった時に血圧が下がり、ふらつきやめまい、易(い)疲労感(疲れやすい)、動悸(どうき)、視野のかすみ、眼前暗黒感、時には失神などを伴う病気です。

原因は何か

 立位になると全身の循環血液量のうち、500〜800mlは腹部や下肢に移行します。そうすると心臓にもどる静脈還流量が減少します。そのため、心拍出量(心臓から送り出す血液量)は減少し、大動脈や頸(けい)動脈洞に存在する圧受容体(血圧をコントロールする器官)の刺激も低下します。
 正常なら、これが誘引となって交感神経を中心とする調節反射がはたらいて、心拍数の増加や心臓の収縮能、末梢血管の抵抗が高められ、立位になっても血圧が維持されます。
 しかし、このような血圧コントロールの過程のなかで、何らかの原因で調節反射が正常にはたらかないと、血圧は起立時に下がったままで臥位の状態にもどらず、起立性低血圧となります。


 なお、起立性低血圧症の原因となる疾患は、表14に示すように、一次性、二次性、薬剤に分けられます。

症状の現れ方

 めまいやふらつきなど起立時の症状は午前中に出現しやすく、とくに食後や運動後に増悪することがあります。高齢者ではとくに食後に一過性の意識消失発作(失神)を認めることがありますが、その原因として、食後に血液が内臓にたまることが、全身の血管抵抗を減少させているとされています。

治療と診断

 診断には起立時に血圧測定を行うことが必要です。起立試験の結果、臥位(寝た状態)や座位時の血圧と比較して、起立後3分以内で収縮期血圧20mmHg、拡張期血圧10mmHg以上の低下を認めた場合を陽性として、起立性低血圧症と診断されます。
 その際、起立時にめまい、ふらつき、眼前暗黒感、失神などの症状が生じた場合、起立性低血圧症に伴う症状と判明します。

治療の方法

 起立性低血圧症の治療では、生活指導を含めた一般療法と薬物療法が基本となります。


 一般療法は本態性低血圧症の治療と共通することが多く、生活指導から運動療法、物理療法までが行われます(表15)。

起立性低血圧症に気づいたらどうする

 起立時のみに症状が出現する場合、専門医(内科)を受診し、起立試験により起立性低血圧症の精査を行ってもらう必要があります。
 起立性低血圧症の診断がついた場合は、原因疾患の精査やそれに伴う治療が行われます。