神経調節性失神<循環器の病気>の症状の現れ方

 長時間の立位・座位、排尿や排便、また血圧や心拍数をコントロールする頸動脈洞(けいどうみゃくどう)の圧迫などにより、失神が現れます。その発症の体位としては立位や座位が多く、しばしば脱水、発熱、疼痛などが引き金になります。
 さらに失神出現前に高率に吐き気、気分不快、動悸(どうき)、発汗などの前駆症状(前兆)を伴います。
 典型的な例では、若い女性が満員電車で長時間立っていて、気分不快に伴って失神するという場合です。

神経調節性失神<循環器の病気>の診断と治療の方法

 神経調節性失神に対する治療法を表16に示します。治療として、病状を説明し、本疾患を理解してもらうことは失神の回避を容易にします。また、生活指導は極めて重要であり、失神の予防につながります(表17)。
 つまり、排尿や脱水などに注意し、長時間の立位を避けることが必要です。また、立位時に下肢の血液貯留を減らすためには、下肢の運動も効果的です。血圧の高くない患者さんは、水分に加え塩分補給によって、循環血液量を増やすことも重要です。
 さらに、病歴と一致した失神の前駆症状(前兆)を認めた場合は即座に体位変換や失神回避を行うことが重要です。また、弾性ストックキングを装着することは下肢の血液貯留の防止につながり、失神を誘発しにくくします。
 生活指導が無効な場合には、起立調節訓練も有効な方法です。この方法は、1日に1〜2回、壁面を利用して踵(かかと)を15cmぐらい離して、10〜30分の立位訓練を繰り返すことにより、徐々に立位の持続時間が延長でき、最終的には失神発作が予防できるという訓練法です。
 薬物療法は、α(アルファ)交感神経刺激薬(塩酸ミドドリン、エチレフリン塩酸塩、メチル硫酸アメジニウム)、β(ベータ)遮断薬、ジソピラミド、セロトニン再吸収阻害薬などが有効です。また、循環血液量を増加させ、失神を予防するためには、食塩補給に加え、鉱質コルチコイドの服用も有効です。
 薬剤抵抗性で心拍数低下が著しい心臓抑制型では、ペースメーカー治療も考慮され、有効な場合もあります。