どんな病気か・原因は何か



 先天性の弁膜異常症(べんまくいじょうしょう)です。主として三尖弁(さんせんべん)の付着異常を特徴とする比較的まれな病気で、全先天性心疾患の約0・5%程度です。三尖弁の形態異常の程度により病態は極めて多様です(図17)。
 症状の出現も、三尖弁逆流が高度で右心室機能不全の強い場合は新生児期に全身性のチアノーゼ(皮膚や粘膜が紫色になること)、心不全を起こして死亡する場合があります。
 比較的軽症の場合には症状が極めて軽微なので、成人期に初めて心雑音、またはWPW症候群による頻脈(ひんみゃく)発作(発作性上室性頻拍)を契機に発見されることが少なくありません。
 本症が妊娠初期に炭酸リチウム(躁病(そうびょう)治療薬)を服用していた女性の子どもにみられたという報告がありますが、はっきりとした原因は不明です。

検査と診断

 診断の確定には心臓超音波検査(心エコー)が最も有効で、三尖弁の付着異常が直接確認できます。手術が必要な場合にはその後、心臓カテーテル、心血管造影検査(精密検査)が必要です。
 本症と区別すべき病気としては、純型肺動脈閉鎖症(じゅんけいはいどうみゃくへいさしょう)、孤立性三尖弁閉鎖不全症(こりつせいさんせんべんへいさふぜんしょう)、UHL病、三尖弁欠如などがあげられます。

治療の方法

 治療方針の決定は、循環器小児科医によってなされます。無症状ないしごく軽度のチアノーゼだけがある場合では、とくに治療は必要ありません。不整脈の合併に対しては、内科的治療あるいはカテーテルによる焼灼(しょうしゃく)(アブレーション)が行われます。
 日常生活が制限される場合や高度の心拡大(心胸比65%以上)、高度のチアノーゼ、奇異性塞栓症(きいせいそくせんしょう)経験者などに対しては外科的手術の必要があり、弁形成術あるいは弁置換手術が行われます。