三尖弁閉鎖症<循環器の病気>の症状の現れ方

 チアノーゼは、生後1日目に約半数の症例で現れます。動脈管依存型の新生児ではプロスタグランジン製剤の持続点滴が必要になります。
 さらに、肺血流の少ない群では、ファロー四徴症と同じようにスペル発作(唇が黒くなり、一時的に意識を失う発作)を認めることもあり、その場合は乳児期早期に開胸によるシャント手術が必要になります。
 逆に、肺血流が増加する群ではチアノーゼは目立たず、呼吸障害、肝腫大(かんしゅだい)、体重増加不良などの心不全症状が主体となります。その場合、長く放置すると肺高血圧症が進行し、将来の機能的根治手術(フォンタン手術)ができなくなります。高肺血流群では、乳児期早期に肺動脈絞扼術(こうやくじゅつ)(バンディング手術)を行い、肺血行動態の改善を目指す必要があります。
 心房間の交通が小さく右心不全症状の強い例では、風船付きカテーテルによる治療が必要になることもあります。

三尖弁閉鎖症<循環器の病気>の診断と治療の方法

 新生児期にチアノーゼを認めたら、循環器小児科を受診し、早期の確定診断を受ける必要があります。本症では心室が左心室だけなので、基本的には単心室と同じように将来のフォンタン手術に備えて肺血管の適切な発育が必要だからです。すべての患者さんにフォンタン手術が可能ではなく、厳密な適応基準を満たした場合にだけ機能的根治手術が受けられます。
 根治手術が可能かどうかの境界領域では、上大静脈肺動脈吻合(ふんごう)術(両方向性グレン手術:半分フォンタン手術)を行って段階的にフォンタン手術に至る方法や、フォンタン手術の際に一部の静脈血を左心房に流す「穴あきフォンタン手術」という方法を選択します。
 本症の自然予後(何も治療しない場合の経過)は不良で、10歳以上の生存率は約10%にすぎません。とくに、肺動脈閉鎖(はいどうみゃくへいさ)がある場合では、生後10カ月以内に死亡します。乳児期早期から専門病院での計画性のある治療戦略が必要な病気のひとつです。