発作性上室性頻拍<循環器の病気>の症状の現れ方

 発作性上室性頻拍の症状は、突然生じてしばらく続き、突然止まる動悸(どうき)や胸部違和感として自覚されます。頻拍が生じていない時はまったく正常なので、健康診断でも発作時以外は異常を指摘されることはありません。
 頻拍が長時間続くと、心機能が低下してうっ血性心不全の状態になることがあります。

発作性上室性頻拍<循環器の病気>の診断と治療の方法

 発作性上室性頻拍の治療は、頻拍の停止と頻拍の予防に分けると理解しやすいでしょう。発作性上室性頻拍は、房室回帰性頻拍と房室結節リエントリー性頻拍とが90%を占め、ともに房室結節がその頻拍の回路に含まれています。ですから、房室結節の伝導を抑えると頻拍は止まりますし、予防もできる可能性があります。

薬物療法
 房室結節伝導を抑える薬物としては、カルシウムチャネル遮断薬、β(ベータ)遮断薬、ジギタリス、ATP製剤などがあります。カルシウムチャネル遮断薬としては、ベラパミルとジルチアゼムが一般に使われています。ベラパミルは静脈注射(静注)でも経口投与でも使われ、ジルチアゼムは主に経口投与で使われます。ジギタリスの静注薬を、短時間の点滴として投与することもあります。
 同じような静注薬として、ATP製剤の急速静注もすすめられます。ATP製剤はゆっくり静注したのでは効果が低く、急速に静注すると房室結節伝導を抑えます。一過性の血圧低下、頭痛、吐き気、嘔吐などの副作用が必ずあるのが難点ですが、ごく短時間に薬効がなくなるので、これらの症状はすぐに回復します。この性質を利用すると、ATP製剤は反復投与が可能なので、最近では頻繁に使われるようになりました。
 さらに、心房内リエントリー性頻拍のなかで、房室結節の近くに小さなリエントリー回路のある頻拍は、ATP製剤に感受性が高く、少量のATP製剤の急速静注で頻拍が止まります。また、洞結節リエントリー性頻拍が関わる組織も房室結節に似てゆっくりと興奮が伝わる反応を示すので、ATP製剤によって止まる可能性があります。
 したがって、QRS幅が正常な頻拍を止めるには、ATP製剤の急速静注が最も効果的です。

非薬物療法
 確実に発作性上室性頻拍を止めるには、直流通電による電気ショックを選択します。これは非薬物療法のひとつです。
 別の非薬物療法としては、高周波カテーテル・アブレーション(コラム)があります。頻拍が関わる組織を焼灼(しょうしゃく)して頻拍を根治させる治療法で、治療成績がよいので薬物療法に取って代わられようとしています。頻拍を根治させるので予防的治療法になります。
 WPW症候群の房室回帰性頻拍であれば副伝導路を、房室結節リエントリー性頻拍では心房後壁から房室結節へ侵入する遅い伝導路をアブレーションの標的にします。この2つの頻拍に関しては、高周波カテーテル・アブレーションが予防的治療法の第一選択になっています。
 心房内リエントリー性頻拍と洞結節リエントリー性頻拍では、頻拍中に最も早く興奮している心房部位を標的にします。