大動脈解離とはどんな病気か

 大動脈の壁に亀裂(きれつ)(エントリーと呼ぶ)が入り、壁が内膜と外膜とに分離されてしまう病気を大動脈解離といいます。突然に発症することが多く、その場合は急性大動脈解離と呼ばれ、急性心筋梗塞(しんきんこうそく)とならんで、すぐに対処が必要な循環器の救急疾患です。大動脈解離の模式図を図30に示します。

症状の現れ方

 急性大動脈解離が起こった時には、突然の激しい胸や背中の痛みがあり、救急車を呼ぶことになります。まれに痛みが軽いこともあります。動脈の壁が分離されるために、手足の動脈への血流が悪くなり、手や足の激しい痛みが突然に現れてくることもあります。解離は高血圧がある人に起こりやすいといわれています。

治療の方法

 大動脈解離の部位によって対処方法が変わります。
 心臓から出るすぐ上の上行大動脈に大動脈解離がある場合には、心臓の周囲に出血して死亡する危険性が高いために、緊急手術をします。このタイプはA型と呼ばれ、心臓の緊急手術が実施できる病院に搬送する必要があります。
 大動脈解離が上行大動脈にない場合はB型と呼ばれ、血圧を下げる内科的治療で対処できる可能性があります。しかし、B型でも大動脈の壁が分離することにより手足や胃腸への血流が悪くなった場合は、手術が必要になります。A型、B型の違いを図31に示しました。

大動脈解離に気づいたらどうする

 急性大動脈解離は、適切な治療を受けないと突然死する危険性が高く、専門的な病院で集中的な治療を受ける必要があります。心臓血管専門医の診療が必要です。大動脈解離は日本人に多い疾患で、循環器疾患による突然死では、心筋梗塞に次いで2番目に多い死因とされています。