急性細気管支炎とはどんな病気か



 細気管支は、気管支が枝分かれし、二酸化炭素と酸素を交換する肺の末梢の肺胞(はいほう)に近い細い気管支のことです(図8)。ここには軟骨がなく、炎症が起こるとさらに細くなり、空気の出入りが困難になります。とくに、空気を吸うよりも吐くほうが困難で、そのためちょうど喘息(ぜんそく)の発作のような症状を示します。

原因は何か

 小児、とくに2歳以下の幼児にRSウイルスの感染症として起こる場合が典型的です。ほかのウイルスでも起こることがあり、また成人ではマイコプラズマ感染症による細気管支炎が報告されています。

症状の現れ方

 数日続く上気道炎のあと、深い咳(せき)と呼吸数の増加、呼吸困難ならびにヒューヒューという呼吸音(喘鳴(ぜんめい))が聞かれるようになります。呼吸困難感が強く、努力様の呼吸が認められ、呼気の延長、呼吸補助筋を使った呼吸(肋間(ろっかん)の陥没(かんぼつ))がみられます。聴診所見では、喘鳴と水泡音(すいほうおん)が聞かれ、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる)も認められます。このような症状は喘息発作によく似ています。
 肺に空気が入ってきても出ていきにくいので、胸部X線像では過膨張(かぼうちょう)の状態になり、CT像では過膨張所見とともに、小葉中心性といわれる粒状の陰影が特徴的に認められることがあります。

検査と診断

 症状とX線所見から本症が疑われる場合は、迅速診断検査が可能です。しかし、迅速診断の可能な施設はかぎられています。
 RSウイルスによる細気管支炎では有効な抗ウイルス薬がないのが現状なので、必ずしも診断が治療に結びつくというわけではありません。
 区別のための検査としては、幼児の場合、喘息と異物の誤嚥(ごえん)が大切です。喘息は既往歴があれば区別が容易ですが、初めての場合、気管支拡張薬の吸入などで症状が改善すれば、喘息の可能性が高くなります。異物は、胸部X線像で確認できれば診断できますが、ピーナッツなどの植物性のものはX線検査では診断困難で、呼吸音の左右差などの診察所見が鑑別のポイントになります。
 成人では、胸部CTなどの画像診断が有用です。

治療の方法

 最近、幼児のRSウイルスによる細気管支炎に対しては抗ウイルス薬のリバビリンが有効であるという報告もされていますが、明確な結論は現在の段階では得られていません。成人のマイコプラズマによる急性細気管支炎には、マクロライド系抗菌薬が治療に用いられます。しかし、病態の基にはアレルギー反応があるともいわれており、抗菌薬が本当に有効であるという根拠については明確ではありません。
 気管支拡張薬や副腎皮質ステロイド薬の効果についても肯定、否定両方の報告がみられます。したがって、治療は、十分な酸素の供給と脱水の防止を行い、経過を観察しながら、これらの薬剤を使うことになります。
 基礎疾患がなければ、比較的予後は良好です。

急性細気管支炎に気づいたらどうする

 喘鳴を伴う呼吸困難が現れたら、急性細気管支炎、喘息、気道内異物を疑い、鑑別を行うために呼吸器の専門の医療機関を受診します。
 成人の場合、喘息が最も多く、急性細気管支炎はまれです。しかし、いずれの疾患でも受診が遅れたり、放置すると生命に関わる病態となるので、必ずできるだけ早く受診することが大切です。