ウイルス性肺炎とはどんな病気か

 ウイルスによる肺の病気は「かぜ症候群」として広く知られています。その多くは自然に治癒しますが、なかには下気道へと進展し肺炎を合併することがあります。
 肺炎の原因には、(1)ウイルスそのものが肺炎を起こす場合、(2)ウイルスと細菌が混合感染し肺炎を起こす場合、(3)ウイルスが先行感染し、これに続いて細菌が二次的に肺炎を起こす場合、の3つがあります。一般的には、ウイルス単独による肺炎よりも細菌感染を合併症した肺炎が多く、純ウイルス肺炎をみることは少ないです。

原因は何か

 ウイルス性肺炎は小児ではしばしばみられ、成人では比較的まれな病態です。また、小児期では年齢による差が著明です。
 健常な成人に発症した肺炎の原因ウイルスに関する検討では、インフルエンザウイルスが最も多く、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルスがこれに続きます。また、現在は制圧されていますが、世界を震撼させた新型コロナウイルスによる重症急性呼吸器症候群SARS)は忘れてはならないウイルスです。
 以下に、ウイルス性肺炎のなかで最も重要なインフルエンザウイルス肺炎について述べます。

インフルエンザウイルス肺炎(はいえん)

ウイルス性肺炎とはどんな病気か

 インフルエンザは学童期に罹患率が高く、それが家庭内で成人や高齢者に感染して一般社会へ拡散します。逆に、高齢者は罹患率が低いものの死亡率が高いのが特徴で、死亡する人のほとんどを高齢者が占める傾向があります。
 インフルエンザの大流行時では、非流行時に比べ死亡数が著しく増加する傾向があり、この超過死亡数の約90%、入院者数の半数は高齢者で、その主な原因は肺炎合併のためと考えられています。 高齢者で最も頻繁にみられる病型は二次性細菌性肺炎で、純インフルエンザ肺炎は少ないとされています。

症状の現れ方

 純ウイルス性肺炎は、発熱などのインフルエンザ症状の出現後1〜2日のうちに呼吸困難が起こり、急速に低酸素血症が進行して死亡することも少なくありません。一方、細菌感染を合併した肺炎は、しばしば普通の細菌性肺炎と鑑別が困難な臨床像を示します。インフルエンザ症状の軽快後に再発熱を来し、さまざまな呼吸器症状が現れることもあります。
 原因菌として肺炎球菌、黄色ブドウ球菌が重要です。

治療の方法

 抗インフルエンザ薬としては、アマンタジンがA型インフルエンザに、ノイラミニダーゼ阻害薬であるザナミビル(リレンザ)とオセルタミビル(タミフル)は、A型、B型の両者に保険適応となっています。発症から48時間以内に投与を開始すれば効果が期待できます。2008年以降、タミフル耐性のA型インフルエンザ(H1N1)株が著しく増加しており問題となっています。


 インフルエンザ対策では予防が最も重要で、ワクチン接種が推奨されています(表6)。とくに高齢者を中心としたハイリスク群には2001年以降、国から公的補助が与えられています。