肺結核<呼吸器の病気>の症状の現れ方

 発熱、咳(せき)、痰、易(い)疲労感(疲れやすい)、食欲不振、寝汗などの症状が知らぬ間に現れます。これらの症状は冬季に流行する感冒(かんぼう)(かぜ)とまったく同じですが、感冒とは違い、症状が長期間続きます。病院や診療所で感冒薬を処方してもらい、内服しても2週間以上症状が続けば、気管支喘息(ぜんそく)か肺結核症が疑われます。
 放置すると、血痰、息切れ、体重の減少も加わります。肺結核症の一型である喉頭・気管支結核では、早期にがんこな咳と血痰(けったん)が認められます。

肺結核<呼吸器の病気>の診断と治療の方法

 日本ではWHOが推奨している強化治療法を行っています。
 すなわち、排菌陽性者にはピラジナミド(PZA:殺菌作用、半休止期の菌に効果)にイソニアジド(INH:殺菌作用、増殖する菌に効果)、リファンピシン(RFP:殺菌作用、増殖する菌、半休止期の菌に効果)およびストレプトマイシン(SM:殺菌作用、増殖する菌に効果)またはエタンブトール(EB:静菌作用、増殖する菌に効果)の4種類の抗結核薬を、まず2カ月併用します。
 その後4カ月はINH+RFPにEBを加えたり、加えなかったりします。なお、肝機能異常がある人や80歳以上の高齢者では、PZAの副作用として肝炎が出現もしくは悪化しやすいので、使用をひかえます。PZAが使用できない場合や排菌の確認の得られない場合は、INH+RFPに、EBもしくはSMの三者で6カ月治療し、その後3カ月はINH+RFPで治療します。
 いずれの治療法でも基礎疾患に糖尿病があったり、粟粒結核の場合は、さらに3〜6カ月治療を継続してもよいでしょう。また、じん肺に合併した肺結核感染症は治療抵抗性を示すので、やはり長めに治療します。
 内服薬は1日1回の内服でよいですが、INHによる末梢神経障害の予防のため、ビタミンB6製剤を同時に内服します。INHは肝機能異常を生じやすく、さらにSMは腎機能障害や第8聴神経(ちょうしんけい)障害による難聴が現れることもあるので、治療前に肝機能と聴力の検査を行います。EBは視神経障害を来しやすいので、前もって眼科的検査を受けてください。
 表7に抗結核薬の副作用をあげました。治療開始後1カ月以内に肝機能の血液検査を行い、異常がなければそのまま治療を続け、その後も1カ月に1度は肝機能をチェックします。
 近年、抗結核薬の服用が指示されたとおりに実行されているかどうか疑わしい患者さんには、耐性菌の出現を避けるため、医療従事者の目の前で服用してもらう方法が米国から導入されました。これをDOTS(Directory Observed Treat-ment, Short Course:直接監視下短期化学療法)といい、「日本版21世紀型DOTS戦略事業」が都道府県・指定都市で行われ始めています。
 DOTSは、RFPおよびINHに耐性を示す多剤耐性結核菌患者の治療にも有効です。幸い日本では、初回治療での多剤耐性結核菌の頻度は1%未満と低いのですが、再治療の患者さんからのそれは20%弱ですので、いかに最初の治療が大切かということがわかります。
 なお、結核治療を開始したあとも、3週間は毎週1回、その後月1回は喀痰の検査を行い、結核菌の陰性化を確認します。