気管支喘息<呼吸器の病気>の症状の現れ方

 発作性の咳(せき)、喘鳴(ぜんめい)と呼吸困難が起こり、ごく軽度のものから死に至るものまであります。喘鳴と呼ばれる「ゼーゼー」、「ヒューヒュー」という音が、のどや胸で聞こえる特徴がありますが、軽症の場合は必ずしも聞こえるわけではありません。呼吸困難は、日によって、あるいは時間によって変化することが特徴で、自然に、あるいは治療により改善します。
 患者さんは、冷房の部屋に入った時や、煙、香水などの刺激に対して非常に敏感に反応し、喘鳴や咳が誘発されやすい特徴があります。また、飲酒によって喘息が悪化する症例が日本人には約半数あるので、喘息の患者さんは飲酒にも注意しなくてはなりません。
 喘息の発作は、多くの場合、夜中から朝方にかけて、咳、喘鳴で始まります。また、運動により誘発されることもあります。外出時の慌(あわ)ただしい時や、バスに乗り遅れまいとバス停に急ぐ時などにしばしば症状が強くなります。小児の場合では、布団で遊んでいる時に、布団のなかのハウスダストが飛散して発作が誘発されることもしばしばあります。
 アスピリン喘息とは、アスピリンなどのかぜ薬・痛み止めの内服、座薬、湿布、注射のあと20〜30分たって急激な発作が誘発される喘息です。喘息の患者さんの10人に1人の割合でみられますが、このような経験がある人は、病院あるいは歯科医院の受診時には必ず報告することにしましょう。

気管支喘息<呼吸器の病気>の診断と治療の方法


(1)急性発作時の喘息治療
 発作時には、β2刺激薬の吸入と、酸素飽和度の低下があれば酸素の投与、そしてステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)の内服あるいは点滴(メチルプレドニゾロン125mg程度)による治療を基本とします。以後、改善があればそれらの薬を減量し、以下に示す維持療法に移行していきます。

(2)安定期の喘息治療
 症状を安定させるには、喘息をコントロールする薬(予防薬)と、呼吸困難をすぐに改善する薬(治療薬)に分けて考えると理解しやすいでしょう。
 喘息の治療法は、その症状の強さにより決定されます。ごく軽い症例では症状が出た時だけβ2刺激薬(短時間作用性:メプチンエアー、ベロテックエロゾル、アイロミール、サルタノールなど)のハンドネブライザー(携帯型ネブライザー)吸入を行います。
 1週間に1回を超える発作があれば、軽い発作でも、β2刺激薬の吸入に加えてステロイド薬の吸入(予防薬)を行うことが必要とガイドラインですすめられています(パウダー製剤:フルタイド、パルミコート、アズマネックス。ハンドネブライザー製剤:キュバール、オルベスコ、フルタイドエア)。ステロイド薬の吸入量は、症状が強い時期は多くの回数を、症状が改善した時期は減量することができます。減量の場合は3カ月の症状の安定を確認する必要があります。
 吸入療法の利点は、最少量の薬で病変部に最高の濃度の薬剤を到達させることができることです。吸入は医師・薬剤師・看護師の指導を受け、正しく吸入することで、より有効に薬を病変部に到達させることができるでしょう。
 症状が十分に改善しない場合には、長時間作用性β2刺激薬(サルメテロール)の吸入が有効なことがあります。しかし、この薬はステロイド薬の吸入なしに単独で吸入すると喘息の悪化がみられることがあるので、ステロイド薬の吸入と併用することが大切です。ステロイドと長時間作用性β2刺激薬の配合剤(アドエア、シムビコート)も販売されています。また、吸入後に口腔に薬が残らないようにうがいを励行(れいこう)する必要があります。
 うがいができない場所では吸入をひかえてしまうケースもありますが、喘息の症状が出た場合には、早期に吸入することをすすめます。
 吸入薬が苦手な人は、ロイコトリエン拮抗薬(オノン、シングレア、キプレス)、テオフィリン(テオドール、テオロング、ユニフィル、スロービッド、ユニフィルなど)を内服すると改善されます。また、β2刺激薬の貼り薬(貼付(ちょうふ)薬:ホクナリンテープ)なども有効なことがあります。
 難治性の重症喘息には、IgEに対する抗体の注射「ゾレア」が発売されました。
 詳細な治療法については、日本のガイドライン「喘息予防・管理ガイドライン2009」を表9に示します。