好酸球肺浸潤症候群とはどんな病気か

 好酸球肺浸潤症候群とは、好酸球が肺に浸潤する肺炎のことで、いくつかの疾患を総称したものです。好酸球とは、血液のなかの炎症細胞(白血球)のひとつで、アレルギーや寄生虫感染の時に重要なはたらきをする細胞です。好酸球肺浸潤症候群では末梢血液中に好酸球が増える場合がしばしばみられますが、必ずしも合併するとはかぎりません。

原因は何か

 原因がわかっているものには、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(アレルギー性気管支肺真菌症(きかんしはいしんきんしょう)とも呼ばれ、真菌に対するアレルギー疾患)、寄生虫感染(フィラリア、回虫など)、薬物による肺炎(ニトロフラントイン、抗生剤、降圧薬、抗結核薬などによる)、栄養食品であるL‐トリプトファンによる好酸球増加筋痛症候群があります。また、たばこを吸い始めた時に、急性好酸球性肺炎を発症することがあります。
 原因不明のものとしては、レフレル症候群、急性好酸球性肺炎、慢性好酸球性肺炎、アレルギー性肉芽腫性(にくげしゅせい)血管炎(チャーグ・ストラウス症候群)、好酸球増加症候群があります。

症状の現れ方

 症状は肺炎の重症度によります。重症では呼吸困難や咳(せき)で発症し、チアノーゼ(血液中の酸素が減少し、皮膚や粘膜の色が青紫色になること)を示すことさえありますが、軽症例ではまったく症状がなく、X線写真で肺炎像として発見されることもあります。また、重症例では発熱や食欲不振、体重の減少なども認められることがあります。
 アレルギー性肉芽腫性血管炎は、喘息で発症する特徴がありますが、その後、好酸球性肺炎を起こすこともあり、皮膚、消化管、末梢神経、心臓、腎臓など重要な臓器も障害される全身性の血管炎です。喘息の治療が成功しているにもかかわらず、手や足がしびれたり、皮膚炎、腹痛や胸痛が現れてきた場合には、この疾患の可能性があります。
 好酸球増加症候群では、末梢血のなかの好酸球が6カ月以上、1500μl以上に増えて、多くの臓器障害が起こり、とくに心臓の障害が重い合併症となってきます。

検査と診断

 検査では、胸部X線写真で肺炎像が確認されます。肺炎像に加えて、血液検査で好酸球の増多があれば好酸球肺浸潤症候群が考えられ、喀痰(かくたん)に好酸球が増えていれば診断にほぼ間違いはありません。胸部X線写真で、肺炎像の場所が移動することが本疾患の特徴のひとつですが、移動しない症例もあります。
 原因が予測できる疾患では、その原因物質を特定することで診断が可能になってきます。アレルギー性気管支肺真菌症は、喀痰のなかから真菌を確認し、血液検査でその真菌に対する免疫グロブリン(IgGおよびIgE)を確認します。また、気管支拡張症(きかんしかくちょうしょう)を合併することもひとつの特徴なので、CT検査で確認することが重要です。さらに常用薬はないか、寄生虫感染地域への旅行あるいは在住がなかったかどうかは、重要な診断の参考になります。
 また、アレルギー性肉芽腫性血管炎では、血液検査でIgEの上昇とP‐ANCAの上昇が重要な診断の根拠になります。

治療の方法

 軽症例では無治療で改善することもありますが、一般的にはステロイド薬(副腎皮質ホルモン)を内服することにより早期に改善します。しかし、アレルギー性肉芽腫性血管炎、慢性好酸球性肺炎、好酸球増加症候群ではステロイド薬に十分な反応が得られないこともあります。その場合は、抗がん薬のシクロフォスファミド(エンドキサン)やヒドロキシカルバミド(ハイドレア)などを併用することもあります。
 また、遺伝子の異型例ではイマチニブが著しく有効な症例があります。

好酸球肺浸潤症候群に気づいたらどうする

 好酸球肺浸潤症候群は、集団健診の胸部X線検査で異常を指摘されるか、咳、呼吸困難、発熱、全身倦怠感(けんたいかん)を自覚して初めて受診して発見されるケースがほとんどです。初めてたばこを吸い始め、数日後に呼吸困難が発症したら急性好酸球性肺炎、喘息を合併していて喀痰が褐色調のゼリー状で小さな筒状であったらアレルギー性気管支肺真菌症、喘息があり下腿の外側のしびれ、腹痛、皮膚炎のいずれかが出てきたらアレルギー性肉芽腫性血管炎が考えられます。
 いずれにしても早期発見・早期治療が重要なので、これらの疾患が疑われたら病院を受診してください。