肺腫瘍、肺がん<呼吸器の病気>の症状の現れ方

 肺がんに特有の症状というものがあるわけではありません。また、肺という臓器は極めて鈍感な臓器です。そこに早期発見が難しいわけがあります。
 表16に肺がんでみられる臨床症状をあげてありますが、これらの多くは肺がん以外の呼吸器疾患でもみられるものです。しかし、明らかな原因がないのに咳や痰が2週間以上続く場合や、痰に血が混じる時は、早めに医療機関を受診するべきです。

肺腫瘍、肺がん<呼吸器の病気>の診断と治療の方法

 肺がんの治療法は、細胞型と進行度で決められます。細胞型というのは、前述の小細胞肺がんか非小細胞肺がんかということです。

(1)小細胞肺がんの治療
 悪性度の高い小細胞肺がんの進行度は、がんが片方の胸部だけに限られている限局型と、それを越えて進んでいる進展型に分けられます。治療をしなかった場合の余命は、限局型で6カ月、進展型では2〜3カ月にすぎません。
 限局型小細胞肺がんの治療は、放射線療法と、シスプラチン・エトポシドという2つの抗がん薬による化学療法を同時に併用することが標準的になっています。内臓の機能が正常で、重い合併症がない人では、中央生存期間(生存期間の中央値)は2年〜2年6カ月、全体の4分の1の患者さんが治ることが国内外の臨床試験で明らかになりました。
 一方、進展型小細胞肺がんの治療成績は不良です。進展型では、病気が広がっているために放射線療法は適しておらず、抗がん薬による化学療法が選択されます。標準的治療法は、シスプラチンとエトポシドの2薬併用、または、シスプラチンとイリノテカンの2薬併用です。高齢者、腎臓の機能が低下した人、全身状態があまりよくない人では、シスプラチンの代わりにカルボプラチンが使用されます。
 なお、I期(早期肺がん)で発見される小細胞肺がんはまれですが、手術で約50%程度の治癒が見込まれるとされています。

(2)非小細胞肺がんの治療
 非小細胞肺がんの治療は、I、II期のいわゆる早期肺がんでは手術(または手術と抗がん薬の併用療法)が、III期の局所進行期がんでは抗がん薬と手術または抗がん薬と放射線の併用療法が、IV期の進行期がんでは抗がん薬が使用されます。
 I期では60〜80%程度、II期では40〜50%程度が治ります。III期の一部は手術できることがありますが、治癒の見込みは15〜30%程度、手術不能のIII期では、標準的な治療を受けた場合で10〜15%程度です。
 III期の場合、手術可能例では術前に抗がん薬を投与することで治癒の見込みが高くなることがわかっています。手術不能例では、放射線療法と抗がん薬の同時併用療法が優れているということが確立しています。
 IV期の進行期肺がんでは、治癒を期待するのは極めて困難です。ただし、抗がん薬の使用によって延命効果とQOL(生活の質)の改善が得られることが明らかになっています。最近は新しい治療薬として分子標的薬も登場しました。