良性胸膜中皮腫(りょうせいきょうまくちゅうひしゅ)

胸膜中皮腫とはどんな病気か

 胸膜の中皮細胞から発生する良性腫瘍で、良性線維性中皮腫(りょうせいせんいせいちゅうひしゅ)とも呼ばれます。

原因は何か

 悪性胸膜中皮腫のように、石綿(アスベスト)暴露との因果関係はなく、原因は不明です。

症状の現れ方

 胸痛などの自覚症状はなく、検診などの胸部X線検査で、偶然に発見されます。
 しかし、低血糖や肥大性肺性骨関節症(ひだいせいはいせいこつかんせつしょう)(肺疾患による関節炎やばち指など)を合併することがあります。

検査と診断

 胸部X線や胸部CT検査で、限局した腫瘍結節(しゅようけっせつ)が胸壁に接してみられます。
 胸腔鏡検査で胸膜を生検し、確定診断を行います。

治療の方法

 腫瘍部を外科的に切除すれば完治します。

胸膜中皮腫に気づいたらどうする

 検診などの胸部X線検査で胸膜腫瘍が発見されたら、悪性の場合もありますので、すぐに内科を受診しましょう。

悪性胸膜中皮腫(あくせいきょうまくちゅうひしゅ)

胸膜中皮腫とはどんな病気か

 胸膜の中皮細胞由来の腫瘍で、悪性度が高く、石綿(アスベスト)曝露(ばくろ)との関連が深いのが特徴です。

原因は何か

 職業的な石綿吸入が発症要因として知られており、石綿鉱山の従業員や、造船業、建設業に従事する人々に発症しやすい腫瘍です。
 石綿に被曝してから悪性胸膜中皮腫が発症するまでの期間は、20〜50年とされています。

症状の現れ方

 通常、片側の肺を侵すことが多く、胸水がたまってくると、胸痛、咳(せき)、呼吸困難が現れます。発熱を来すことはまれです。


 胸部X線検査や胸部CT検査で、胸水がたまっている様子や不整な胸膜肥厚像を認めます(図46)。
 胸水は血性を示すことが多く、ヒアルロン酸も高値を示します。胸水細胞診のみでは診断率が低く、胸腔鏡検査で胸膜変化部を生検して確定診断される場合も少なくありません。

治療の方法

 発症初期での胸膜・肺全摘出術による治療以外に根治的なものはありません。
 手術不能例では、シスプラチンとペメトレキセドの併用抗がん化学療法が有効な場合もありますが、予後は極めて不良です。

胸膜中皮腫に気づいたらどうする

 石綿曝露歴がある人が、胸痛などの自覚症状が起きてから受診したのでは、すでに手遅れです。石綿曝露歴がある人は、1年に2回は検診で胸部X線検査を受け、悪性胸膜中皮腫の早期発見に努めるべきです。