縦隔腫瘍とはどんな病気か

 縦隔内に発生した腫瘍をいいます。縦隔腫瘍には好発部位があり、その発生する場所から、腫瘍の種類が推定できます。
 すなわち、上縦隔には甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)が、前縦隔には胸腺腫(きょうせんしゅ)と奇形腫(きけいしゅ)が、中縦隔にはリンパ性腫瘍、気管支嚢腫(きかんしのうしゅ)、心膜嚢腫(しんまくのうしゅ)が、後縦隔には神経性腫瘍がよくできます(図48)。
 発生頻度は胸腺腫が最も多く、次いで奇形腫、神経性腫瘍です。

原因は何か

 肺がんと喫煙のような、明らかに原因となるものは不明です。また、気管支嚢腫や心膜嚢腫のように、先天性の腫瘍もあります。

症状の現れ方

 縦隔腫瘍の約半数は無症状で、健康診断による胸部X線検査で偶然発見されます。
 腫瘍が気道への圧迫や浸潤(しんじゅん)を起こして咳(せき)、血痰(けったん)、呼吸困難を、食道への圧迫や浸潤により嚥下(えんげ)障害を、胸壁や神経への浸潤により胸痛や神経痛を、反回神経麻痺(はんかいしんけいまひ)によるかすれ声を、交感神経(こうかんしんけい)麻痺によるホルネル症候群(縮瞳、眼裂(がんれつ)狭小、眼球陥凹(かんおう))を、上大静脈への圧迫や浸潤により上大静脈(じょうだいじょうみゃく)症候群(顔面や頸部(けいぶ)の浮腫)を来すこともあります。
 胸線腫では腫瘍随伴症状として、重症筋無力症(骨格筋が疲れやすくなったり脱力を来す病気で、眼瞼下垂(がんけんかすい)を来すことが多い)や、赤芽球癆(せきがきゅうろう)(赤血球のみが減る病気)が高率にみられるのが特徴です。

検査と診断

 胸部X線検査や胸部CT検査で、腫瘍を確認します(図49)。
 前述のように、縦隔腫瘍には好発部位があり、その発生する場所から腫瘍の種類を推定します。しかし、良性か悪性かの見分けは、画像からは困難です。

治療の方法

 縦隔腫瘍は、発見後できるだけ早期に手術をするのが原則です。多くは手術により治癒します。悪性リンパ腫であれば、抗がん化学療法が行われます。

縦隔腫瘍に気づいたらどうする

 縦隔腫瘍の半数は、健康診断で発見されます。1年に1回の検診は欠かせません。
 疲れやすさや筋肉に力が入らない、とくにまぶたが垂れ下がる(眼瞼下垂)という症状に気づいたら、胸腺腫による重症筋無力症の可能性があるので、早めに内科を受診しましょう。