非ヘルペス性急性辺縁系(へんえんけい)脳炎
 単純ヘルペス脳炎の調査の過程で見い出されましたが、ヘルペスウイルス(HSV)PCRおよび抗体陰性、MRIで両側側頭葉(そくとうよう)内側病変を示し、髄液サイトカインではガンマインターフェロンの上昇はみられません。初期症状に、言動異常、けいれんの頻度が高いことが明らかにされています。
 病因は多彩であり、一つの症候群としてとらえられ、病因が判明するとその病因を付けた名称に切り替わるようになってきています。たとえばウイルス関連辺縁系脳炎、グルタミン酸受容体 (Glu R)抗体関連、傍腫瘍性(ぼうしゅようせい)辺縁系脳炎・脳症、 卵巣奇形腫に随伴したNMDA受容体抗体脳炎、自己免疫疾患性などがあげられます。
 治療には、ヘルペス脳炎が必ずしも除外できないため、抗ヘルペス薬と副腎皮質ステロイド薬の早期治療を開始します。併せて血漿交換などの免疫学的治療の適応を考慮します。
ヘルペスウイルス性脳幹(のうかん)脳炎
 意識障害、顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)や構音(こうおん)障害などの症状がみられます。
単純ヘルペスウイルス2型脳炎
 単純ヘルペスウイルス2型(性器ヘルペス)感染は、主として産道感染によるものです。新生児ヘルペスは全身型と局在型に分けられていますが、いずれも脳炎を含む病型で死亡率が極めて高いとされています。成人例では性器ヘルペス感染に伴う髄膜炎(ずいまくえん)、脊髄炎(せきずいえん)が一般的にみられます。ヘルペス脳炎に準じた治療が行われます。
麻疹(ましん)脳炎
 小児の病気といえますが、麻疹の経過中に高熱、けいれん、意識障害などで始まります。脳炎症状は、一般の脳炎と変わりありません。麻疹の発疹出現後2〜6日目の発症がよくみられ、髄液所見としては、一般には単核球優位の軽度の細胞増多、軽度の蛋白上昇、糖は正常とされています。麻疹患者1000人に1人が、脳炎を発症するといわれています。
風疹(ふうしん)脳炎
 風疹の経過中または後に発症し、風疹患者約5000人に1人が発症します。本症は二次性脳炎の代表的な疾患であり、症状は風疹の急性期を過ぎたころから現れるとされています。髄膜刺激症状および眼振(無意識に起こる眼球の往復運動)、めまいなどの症状が現れ、その後、けいれんが起き、意識障害が進行します。
水痘(すいとう)脳炎
 多くは水痘みずぼうそう)の経過中に発症します。発症は、水痘出現後数日とされています。頭痛、嘔吐、意識障害が起こります。髄液所見としては、単核球を主とする軽度の細胞増多を認め、軽い蛋白増加がみられます。水痘と関連した急性小脳失調症もあります。アシクロビルによる治療が有効とされています。