末梢神経の病気を総称してニューロパチーといいます。以前は神経炎と呼んでいましたが、最近は神経炎と呼ぶのは、神経組織を顕微鏡で観察して炎症細胞が浸潤(しんじゅん)(隣接する組織のなかに侵入すること)している場合だけに限っています。したがって診療上はニューロパチーという言葉が高頻度に用いられています。
 末梢神経とは、(1)脊髄(せきずい)から出て筋の直前まで(神経筋接合部の神経側まで)行く運動神経、(2)皮膚や関節などから出て脊髄に入るまでの(脊髄近くで後根(こうこん)神経節に一度入る)感覚神経、(3)自律神経からなっています。
 これらの神経の神経線維が広く侵されると、筋力の低下、筋萎縮(きんいしゅく)、感覚鈍麻(かんかくどんま)、感覚脱失などの症状が現れます。後述する原因により運動系、感覚系、自律神経系の障害を来しますが、時にはこれらの系が組み合わさって現れてくることも少なくありません。
 ニューロパチーは、病因や病態による分類、神経組織を採取しての病理学的分類、末梢神経の機能からの電気生理学的分類などがなされています。最近は、生化学、分子生物学的検索が著しく進み、とくに遺伝性のニューロパチーでは原因遺伝子による診断が一部可能になり、早期発見ができるようになっていますが、治療がそれに追いついていないのが現状です。
 脳神経は左右とも対になって第1神経(嗅(きゅう)神経)から第12神経(舌下(ぜっか)神経)まで存在します。第1神経(嗅神経)と第2神経(視神経)は中枢神経系に属し、その他の脳神経は末梢神経に属しています。眼を動かす脳神経(動眼神経、滑車神経、外転神経)や顔面神経等も、単独やいくつかの脳神経の組み合わせで障害されることがあります。脊髄に出入りする脊髄神経あるいは脳神経が1本のみ障害されれば単ニューロパチー、2本以上ばらばらに障害されるのが多発性単ニューロパチー、手足の末端から左右対称性に障害される(手袋・靴下型)のを多発性ニューロパチーと呼びます。