片頭痛<脳・神経・筋の病気>の症状の現れ方

 片頭痛の2〜3日前から食欲亢進(こうしん)、あくびなどの予兆がみられ、次に前兆としては、前述した閃輝性暗点などの視覚症状、あるいは感覚障害、運動障害などが、大脳皮質または脳幹起源の神経症状として現れ、一般に4〜60分間続き、この前兆が消えてから60分以内に頭痛が始まります。
 頭痛は脈拍に一致した拍動性のことが多いのですが、拍動性でなく持続性のこともあります。また、頭痛は片側性のことも、両側性のこともあります。しかし、痛みの程度は一般に強く、少し動くだけで痛みが強くなることもみられます。頭痛の持続時間は長くとも3日以内で、一般には睡眠により軽くなります。

片頭痛<脳・神経・筋の病気>の診断と治療の方法

 片頭痛の治療には、頭痛時の急性期治療と予防的治療があります。

(1)頭痛時の急性期治療
 欧米では1990年ごろからスマトリプタンというセロトニン受容体に作用する薬が第一選択薬として片頭痛に用いられて効果をあげてきました。日本でも、2000年にスマトリプタンの注射薬が認可され、01年にはスマトリプタンとゾルミトリプタン(ゾーミッグ)が経口薬として認可されました。
 これらはトリプタン製剤と呼ばれますが、頭痛が始まってからでも効果がある点で使用しやすく、約60〜70%の患者さんに有効で、片頭痛の発作に伴う悪心、嘔吐、光過敏・音過敏などの随伴症状に対しても有効であることが示されてきました。また、ひとつのトリプタン製剤が無効でも他のトリプタン製剤が有効であることもしばしば認められます。現在、日本では5種類のトリプタン製剤が使用可能です。
 従来から使用されていた酒石酸エルゴタミンなどのエルゴタミン製剤は、前兆の時期に投与すると効果があることが知られています。しかし、エルゴタミン製剤はこの時期を逃して頭痛期になってから投与したのでは効果が出ません。現在では、大多数の片頭痛の患者さんに対しては、効果・副作用の観点からトリプタン製剤のほうがよく、エルゴタミン製剤は片頭痛の発作回数の少ない場合、あるいは発作の持続時間が長い場合のみに用いるという点で専門家の意見が一致しています。
 また、頭痛の程度が軽い場合には、まず消炎鎮痛薬から試み、これが有効でない場合にトリプタン製剤を試みるという、段階的な治療法も行われます。
 頭痛発作時に悪心・嘔吐が強い場合には、通常の内服錠剤では十分な効果が得られないことが少なくありません。このような場合には、ドーパミン拮抗薬であるメトクロプラミド(プリンペラン)やドンペリドン(ナウゼリン)などの制吐薬を併用すると効果的です。

(2)予防的治療
 片頭痛の発作がしばしばあり、急性期治療だけでは十分に治療ができない場合や、急性期の治療が薬の禁忌(きんき)(使用を禁じられていること)や副作用のためにできない場合、また急性期治療の乱用がみられる場合などには、片頭痛の予防的治療を考慮しなければなりません。
 従来から、予防的治療としてβ(ベータ)遮断薬のプロプラノロール(インデラル)や、抗うつ薬のアミトリプチリン(トリプタノール)、抗けいれん薬のバルプロ酸(デパケン)などが有効とされて用いられてきました。近年、カルシウム拮抗薬のロメリジン(テラナス、ミグシス)が日本で開発され、頭痛の頻度と程度が軽減されることが明らかになり、現在臨床の場で広く使用されています。
 予防薬を使う基準としては、まず発作の頻度があげられます。最近は、1カ月に3〜4回以上、支障度の強い頭痛発作がある場合には、原則として予防薬を使用することが推奨されています。