筋強直性ジストロフィー症とはどんな病気か

 筋萎縮、筋力低下が四肢遠位と顔面に特徴的な分布を示し、筋強直と特有の多系統臓器障害(後述)を示す常染色体優生遺伝の筋肉の病気です。強直とは筋肉の収縮が過度に持続し、円滑(えんかつ)に弛緩(しかん)しない状態をいいます。

原因は何か

 遺伝子の病気です。常染色体優生遺伝で19番染色体長腕に位置するMTPK遺伝子の非翻訳領域に、CTGの3塩基反復配列数が異常に伸張しています。臨床的には、成人に発症する成人型と、新生児期ないし乳児期早期に発症する先天型に分類されます。
 一般に、CTGの3塩基反復配列数が多いほど早期に発症し、重症となります。世代間で繰り返し、回数の増加が生じることにより、成人型を有する母親からより重症の先天型の子どもが出生します。

症状の現れ方


成人型

 思春期に、手を強く数秒間握らせ、急に手を開くようにいっても、筋の強直のために急には開くことができない筋強直現象で発症することが多くみられます。
 筋力低下や筋萎縮(いしゅく)は四肢遠位筋に強く、顔面筋などが侵されると、側頭筋を含めた顔面筋萎縮で特徴的な尖ったあごの細長い筋性顔貌を示します。咽頭筋の筋力低下により嚥下(えんげ)障害や鼻声が現れます。四肢では、近位筋より遠位筋が侵されます。
 その他、脱毛症(だつもうしょう)、白内障(はくないしょう)、糖尿病(とうにょうびょう)、心伝導障害(しんでんたつしょうがい)や性格異常などの多系統臓器障害が高頻度にみられます。
先天型
 通常、この病気の母親から生まれた新生児にみられます。呼吸困難、哺乳不良、低緊張が問題となります。出生時にフロッピーインファント(ぐにゃぐにゃ乳児)として気づかれることもあります。強い筋力低下があり、知能低下も著しい最重症型です。大部分が10代までに死亡するといわれています。
 新生児仮死がなく人工呼吸器から離脱できれば、ほとんどの場合で症状が改善するといわれています。筋強直は幼児期には出現しにくく、10歳前後に現れてきます。思春期以降になると、成人期発症とほぼ同じ症状を示すようになります。

検査と診断

 血液検査では、クレアチンキナーゼは正常または軽度上昇、成人期では糖代謝異常がみられる場合もあります。筋電図では、針を筋に刺入した時に、高頻度の筋放電が反復発射され、特徴的なミオトニー放電や急降下爆撃音に似た音が認められます。
 特徴的な臨床像と筋電図でほぼ診断できます。確定診断は遺伝子診断で行います。

治療の方法

 根本的な治療法はなく、対症療法が中心となります。筋強直に対する治療はほとんど不要です。筋力低下による下垂足や足部変形には、短下肢装具や整形外科的手術で対応し、合併症である糖尿病、不整脈(ふせいみゃく)に対する治療もそれぞれ必要です。
 嚥下(えんげ)障害が強い場合は、やむなく経管栄養や胃瘻(いろう)の導入が必要になります。また進行例において、呼吸障害は生命予後を左右する問題で死因の約3分の2を占めています。
 本症に対して麻酔をする際には高熱、筋緊張亢進や電解質異常を来し、悪性高熱の類似の症状が出ることがあるので注意が必要です。

筋強直性ジストロフィー症に気づいたらどうする

 神経、筋を専門とする医療機関を受診してください。