上腕骨頸部骨折とはどんな外傷か



 上腕骨の肩に近い部分の骨折で、骨粗鬆症(こっそしょうしょう)がある高齢者が転倒して手をついたり、直接肩を打った時に起こります(図9)。この骨折と同時に肩関節の脱臼を伴うこともあります。

症状の現れ方

 受傷時からすぐに肩周囲のはれ、痛み(動かすととくに痛い)が出現し、反対側の手で骨折した腕を支えるような動作をとるようになります。

合併症はどんなものか

 受傷時の骨折による合併症としては、血管や神経が骨折部位に近いところをとおっているので、手がしびれたり、血の巡ぐりが悪くなることがあります。
 治療後の合併症としては、骨がつかない状態(偽(ぎ)関節)や、上腕骨の肩の部分の血流が悪くなり壊死(えし)になったりすると、人工関節が必要となる場合があります。また、骨折部が肩の関節に近いため肩の動きが悪くなりやすく、腕があがらなくなります。

検査と診断

 まずはX線検査で骨折を診断します。場合によっては、骨折の状態を詳しくみるためCT検査も必要となります。

治療の方法

 骨折部のずれの程度と骨折部のばらばらの程度により、治療方法が選択されます。
 ずれが少ない場合には、三角布などで手を吊して固定します。この場合、早期から手を吊ったまま肩を動かす訓練を開始します。ずれが大きい場合には手術によって骨折部を合わせ、金属で固定します。骨がばらばらになって骨折部を合わせることが難しい場合には、人工関節を入れることもあります。
 これらの治療後、骨のつきが悪い場合には骨を移植したり、人工関節を入れたりすることもあります。いずれにせよ、可能な限り早期から肩を動かすリハビリテーションを行うことが大変重要で、治療期間は2〜3カ月かかります。

応急処置はどうするか



 三角布などで固定して(図10)、肩を動かさないようにしてすぐに整形外科を受診してください。