肘関節靭帯損傷とはどんな外傷か

 肘関節の両側には、関節の側方への動揺性を制御している(横方向へ曲がらないようにしている)側副靭帯(そくふくじんたい)という組織があります。側副靭帯は、スポーツ、転落などで手をついて肘に外力が加わった時に損傷します。関節脱臼に伴うものと単独損傷があります。
 内側側副(ないそくそくふく)靭帯損傷には、繰り返す野球の投球動作によって生じるものがあります。少年期のものでは、剥離(はくり)骨折を生じます。

見落としやすい外傷と合併症

 外側側副(がいそくそくふく)靭帯損傷は、小児では上腕骨外側上顆(じょうわんこつがいそくじょうか)剥離骨折として発症することがあります。

症状の現れ方

 内側側副靭帯損傷のうち、外傷性のものは受傷後すぐに肘が痛くなり、はれが生じ、疼痛のため肘関節の運動が制限されます。野球によるものは、徐々に痛くなって投げられなくなるものと、急に疼痛が生じ(ぶちっと音がする場合もある)、投球が不能になるものがあります。
 外側側副靭帯損傷は、受傷(多くは脱臼)後時間が経過してから(陳旧性(ちんきゅうせい))、肘の引っかかり感や外れかかりそうになる感じなどが問題となります。

検査と診断

 内側側副靭帯損傷では、上腕骨内側上顆の下端に圧痛(押すと痛むこと)があり、外反ストレス(外側に反る動き)によって疼痛が増強したり、不安定性が認められたりします。外側側副靭帯損傷では、後外側回旋不安定テストを行うことにより、肘が外れかかりそうな感じやクリック(コキッと音が鳴る感じ)を触れるかどうかを調べます。
 X線写真では、剥離骨片が写ることがありますが、正常な場合もあります。ストレスX線検査(負荷をかけて行う)やMRI検査を行います。

治療の方法

 内側側副靭帯損傷のうち、外傷性のものでは2〜3週間の外固定(がいこてい)を行い、その後、徐々に動かす練習を始めます。
 野球による内側側副靭帯損傷で、急激に疼痛が生じて発症した場合は、外傷性と同様に外固定を行います。投球時の疼痛が原因で投球ができない場合には、手術(靭帯再建術)を行います。
 小児の上腕骨外側上顆剥離骨折を伴う外側側副靭帯損傷には骨片整復固定術が必要です。陳旧性の外側側副靭帯損傷には靭帯再建術を行います。

外傷を負ったら

 急性期には、関節を動かないように固定すると疼痛が緩和されます。早期に整形外科を受診することをすすめます。