手指関節靭帯損傷とはどんな外傷か

 手指の関節の両側には、関節の側方への動揺性を制御している(横方向へ曲がらないようにしている)側副靭帯(そくふくじんたい)という組織があります。側副靭帯は、スポーツ外傷、転倒などによって側方への強い外力が加わった時に損傷します。手指PIP関節側副靭帯損傷と、母指MP関節尺側側副(しゃくそくそくふく)靭帯損傷がよく発生します。

見落としやすい外傷と合併症

 専門的には、突き指という診断名はありません。突き指には、靭帯損傷、骨折、脱臼、腱断裂などの病態があります。突き指だと自己判断してしまう患者さんが多いので、注意が必要です。

症状の現れ方

 受傷直後から手指に疼痛、はれが生じます。手指を動かすと痛いので、十分に曲げたり伸ばしたりすることができなくなります。

検査と診断

 強い圧痛(押すと痛むこと)が関節の片側(損傷側)だけに限局してあり、損傷側と反対側へ曲げる力をかけると疼痛が強くなります。靭帯が完全断裂している場合には、側方への不安定性(靭帯が断裂している側と反対側への動きが大きくなる)が認められます。
 X線写真では、靭帯が骨に付着していた部分がはがれた剥離骨片(はくりこっぺん)が写ることがありますが、多くの場合は正常です。関節に対して側方に力をかけた状態で、ストレスX線検査を行い、骨と骨の間の開き具合を左右で比較し、関節の不安定性を調べます。明らかな左右差があれば、完全断裂と診断できます。

治療の方法

 不安定性が強くない場合は、2〜4週間外固定を行い、その後、徐々に動かす練習を始めます。X線検査で異常がない場合でも、一定期間の外固定は必要です。不安定性が強い場合は、手術が必要となります。


 とくに、母指MP関節尺側側副靭帯損傷では、靭帯の断端が反転して、母指内転筋腱膜の下にはさまるステナー障害と呼ばれる治癒不能の状態があるので、手術が必要です(図34)。受傷後早期の場合は、靭帯縫合術を行います。完全断裂で3週間以上放置した場合は、断端同士を縫合することが困難で、再建術が必要になる場合があります。

外傷を負ったら

 関節を動かないように固定すると、疼痛が緩和されます。早期に整形外科を受診することをすすめます。