神経鞘腫<運動器系の病気(外傷を含む)>の症状の現れ方

 体の表面に近い部分では、瘤(こぶ)として意識されます。
 この腫瘍は良性腫瘍なので、大部分の症例では瘤が成長する速さは比較的ゆっくりで、何年間も大きさが変わりませんが、比較的早く成長する例外的なケースもあります。
 神経のそばに発生しているので、痛みを伴うことがあります。瘤を押したときのみに痛みが出る(圧痛)、瘤を押すと発生した神経の走行に沿って電気が走るような痛みが出る(Tinel's sign〈チネル徴候〉)などの痛みの出方があります。
 体の深い部分に発生した場合は、原因不明の痛みやしびれを症状とすることが多いようです。
 最近はMRI検査(磁力を利用した画像検査)が発達し、ほかの病気の検査のために行ったMRI検査で、たまたまこの病気が見つかる機会も増えてきています。
 症状が進行すると、感覚障害(触られたときの感覚が鈍い)や運動障害(力が入りにくい)などの原因となります。
 脳神経に発生した場合、脳神経の障害(耳の聞こえが悪い、めまいがするなど)が発生します。

神経鞘腫<運動器系の病気(外傷を含む)>の診断と治療の方法

 比較的小さく、痛みなどの症状がない場合は、経過観察のみでよいことが多いです。我慢できない痛みがある場合などは、手術をするとよくなることが少なくありません。
 手術は、腫瘍のできていない神経線維を傷つけないように、束になった正常な神経線維を腫瘍からはがしてから、腫瘍のできている1本のすじと腫瘍を切り取ります。図53は、実際の手術で正常な神経をすべて腫瘍からはがしたあと、腫瘍が発生している神経を切断する直前の写真です。
 手術操作で神経を直接傷つけることがなくても、手術のあとでしびれや運動障害が起こることがあるのは、こうして正常な神経をはがす操作が必要であるからです。多くは一時的で経過を見ているうちに回復してきます。
 正常の神経と腫瘍を手術中に見分けるために、手術用の顕微鏡を使用したり、微弱な電気刺激を組織に加えることで神経の場所を確認するなど、安全な手術を行うためにいろいろな工夫がなされます。
 完全に切除された場合、再発はほとんどありません。