横紋筋肉腫とはどんな病気か

 腫瘍の顕微鏡所見や、腫瘍細胞に発現している蛋白質が、骨格筋(横紋筋)と共通の性質をもつ肉腫です。小児に発生する代表的な悪性腫瘍のひとつで、3分の2の症例は10歳以下に発生します。かつては治療が難しく、予後不良な悪性腫瘍のひとつでしたが、今日では70%以上の患者さんが病気を克服できるようになりました。とはいえ、今でも治療の難しい症例があるのも事実です。
 体中のあらゆる部分に発生しますが、最も多いのは眼のまわり(眼窩(がんか))や傍髄膜(ぼうずいまく)と呼ばれる脳の表面近くなど頭頸部で、全体の約35%を占めます。その他、膀胱(ぼうこう)や前立腺などの泌尿生殖器、次いで手足(四肢)に発生します。
 顕微鏡で組織を観察した所見によって、胎児型横紋筋肉腫、胞巣型(ほうそうがた)横紋筋肉腫、多形型横紋筋肉腫などの細かいタイプに分類され、それぞれ遺伝子的背景、なりやすい年齢や治療成績が異なります。

原因は何か

 複雑な遺伝子の異常を背景としており、詳しいことはわかっていません。
 しかし、胞巣型横紋筋肉腫と分類される症例の多くは特定の染色体が配列異常を起こしています。また、子どもの例では、もともと遺伝子異常を背景にもつ疾患である神経線維腫症(しんけいせんいしゅしょう)やリ・フラウメニ症侯群などにかかっている場合に発生しやすいことが報告されています。

症状の現れ方

 急速に大きくなる腫瘤(しゅりゅう)として発症します。瘤(こぶ)は痛みを伴うことがあります。
 瘤が成長した結果、周囲の器官が腫瘍により圧迫を受けて症状を出すことがあります。たとえば、頭に発生した腫瘍が成長することで脳や神経を圧迫した場合は、視覚異常、聴覚異常、眼の運動機能低下、嚥下(えんげ)障害や意識障害など、神経が障害される症状が起こります。

検査と診断

 診断には、実際に組織を採取して顕微鏡で詳しく調べる必要があります。場合によっては専門的な遺伝子検査が必要です。
 再発率の低い手術を行うためには、最初の組織の採取法も計画的に行う必要があるので、局所の病気の広がりを観察するためMRIを撮影します。
 病気が見つかった時点で胸部、所属リンパ節のCT、骨シンチグラム、骨髄穿刺(こつずいせんし)あるいは骨髄生検など、全身的な病気の広がりを調べる検査も行います。この病気の治療法は、病気の全身への広がり具合を元に計画されるからです。

治療の方法

 手術、抗がん薬と放射線療法を組み合わせるのが標準的な治療法です。画像で転移(病気が最初に発生した部位から、悪性の細胞が血液やリンパ液の流れにのってほかの臓器に移ること)がはっきりしていなくても、悪性の細胞が体中に広まっていることが多いので、手術に先立ってまず抗がん薬の治療を行うことが一般的です。
 抗がん薬は極めて有効な治療手段で、抗がん薬を治療に使用し始めて、治療成績は著しく改善されました。この病気の5年累積生存率は、かつて約25%とかなり難治性でしたが、現在では約70%です。
 四肢に発生した場合は、腫瘍のまわりの正常な組織を腫瘍につけて大きく切り取る広範切除術という手術法を用いて手足を切断しないで治療することが一般的です。かつて行われていた切断術は、ほとんどの症例で必要はなくなりました。
 放射線療法は、体内に腫瘍が残っていて手術が難しい場合や、リンパ節転移がある場合などで行うことがあります。

横紋筋肉腫に気づいたらどうする

 がんセンターや大学病院などの専門的な施設での治療が必要です。治療は小児科、耳鼻科、泌尿器科、整形外科、腫瘍(化学療法)専門医、放射線治療医、そして病理診断医などがそれぞれ専門的知識を動員して合同で行います。