滑膜肉腫とはどんな病気か

 ふとももや膝の周囲に起こることが多い悪性腫瘍で、20〜40代くらいの年齢の人によく発生します。顕微鏡で見ると、関節をおおっている滑膜組織と似ていることから、こうした名前がつけられましたが、現在の学説では、この腫瘍と滑膜組織の関係は否定されています。

原因は何か

 染色体の一部がいったん切れて別の部分に接続する(染色体転座といいます)ことで、異常な遺伝子(融合遺伝子)ができることが原因と考えられています。この病気の場合は、第18番染色体とX染色体の一部が入れ替わることで、細胞の機能に異常を来します。

症状の現れ方

 月単位で急に大きくなる痛みのない瘤(こぶ)として自覚されるのは、ほかの多くの肉腫と同様です。ただし、この病気は悪性腫瘍としては比較的ゆっくりと増大することや、数年間にわたって同じ大きさであることがあり、また痛みを伴うことがあるなど少し例外的な症例もあります。
 病気が進行してくると、肺、骨そしてリンパ節などに転移(病気が最初に発生した部位から、血液やリンパ液の流れにのってほかの臓器に移ること)を起こします。肺で病巣が大きくなると呼吸ができなくなり、生命的な問題を発生します。

検査と診断

 X線検査では瘤(こぶ)が薄く写ることがあります。また、瘤のなかに石灰が写る症例があります。CTやMRIなどの詳しい画像検査で正確な病気の広がりを調べます。転移の有無を調べるため、病気が発生した部分以外の画像検査(肺のCTなど)を行います。
 最終的には、顕微鏡で実際に腫瘍組織を検査することで確定診断します。所見が非典型的で顕微鏡の検査だけでは診断がつかない場合は、取り出した組織の遺伝子を検査することもあります。今のところ、血液検査や外来の診察などのみで確定診断をつけることはできません。

治療の方法

 手術で病気を体内から取り除くことが必要です。再発を防ぐために周囲の正常な組織を少し腫瘍につけて、一緒に取り出す広範切除術が必要です。
 かつてこの病気が手足にできた場合は、切断術が唯一の手術法でした。しかし今日では、この広範切除術という手足を温存する方法で切断と同等の治療効果が得られることがわかっており、切断を行う症例はごく限られています。
 顕微鏡で病気を観察した時に細胞分裂の頻度が高い場合や、病巣が大きい場合は、たとえ画像で転移巣がはっきりしない場合でも、眼に見えない微小転移が起こっている可能性があります。このような場合や、画像で転移が確認されている場合は、抗がん薬の治療を併用することがよくあります。
 治療成績は、報告に差があるものの5年累積生存率でおよそ30〜70%といわれています。

滑膜肉腫に気づいたらどうする

 骨軟部腫瘍専門医のいるがんセンターや大学病院での専門的な治療が必要です。

関連項目

 脂肪肉腫悪性線維性組織球腫