大腿骨頭壊死とはどんな病気か

 股関節内の大腿骨頭(大腿骨の骨盤側、球形の形のため骨頭と呼ばれる)の軟骨直下の骨が、血行障害により栄養分がとれずに壊死状態になって脆弱化(ぜいじゃくか)し、つぶれて破壊される病変です。
 小児に発生するペルテス病は、ほぼ同様の部位に発生しますが、修復能力が高いことが特徴です。大腿骨頭壊死は大人の血行障害のため、小児のような修復は望めず、治りにくく、厚生労働省の難病に指定されています。

原因は何か

 はっきりした原因は不明ですが、特殊な病気の治療で大量の副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)投与を受けた人(若年〜中年の女性に多い)と、アルコールを10年以上ほぼ毎日飲んでいる人(中年の男性に多い)に多くみられることがわかっています。しかし、このどちらの要因もない人にもみられます。
 また、大腿骨頭の血行障害を生じやすい股関節の大きな外傷(大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折や外傷性股関節脱臼(こかんせつだっきゅう)骨折)後に発生することも知られています。

症状の現れ方

 股関節の痛みとして発症します。左右両側に発生する場合が半数近くを占めますが、症状の出現時期は異なることが多いです。大腿骨頭壊死が存在しても骨の脆弱(きじゃく)な部分が小さな場合には無症状に経過し、まったく症状が出ないこともあります。一般には、脆弱部の骨が陥没して直上にある関節軟骨も変形を起こし、股関節痛や歩行困難などの症状が現れます。

検査と診断

 骨が陥没して変形を生じると、X線診断は容易ですが、初期の変形が少ないうちは所見がはっきりしないことがあります。疑わしい場合には、MRI検査を受けることで容易に正確な診断をつけることが可能です。

治療の方法

 壊死自体を改善させるよい方法がないのが現状です。痛みがある時には歩行を制限するか杖歩行などの対症療法を行います。
 若年者に起こった場合には、骨頭の陥没変形の発生および進行を防止するために、種々の骨切り手術が行われることがありますが、手術後の治療期間が非常に長くかかります。また骨頭の陥没、破壊が進行し、歩行不能となった場合には、人工股関節手術を行います。人工股関節手術は治療成績もよく、治癒期間も早く、耐用年数も長くなりつつあり、骨切り術より行われることが多くなっています。
 アルコール愛飲歴があるか、ステロイド薬大量投与の既往がある人に股関節痛がある場合は、X線やMRIの検査を受けて大腿骨頭壊死か否かの診断を受ける必要があります。