大腿骨顆部骨壊死とはどんな病気か

 膝関節(しつかんせつ)の大腿骨顆部(膝のすぐ上で大腿骨が大きくなっているところ。内側(ないそく)顆部と外側(がいそく)顆部がある)に骨壊死を生じる病気です。いろいろな病気でステロイド薬を大量投与した場合に、大腿骨頭壊死症と同様に全身性の骨壊死が発生することがあります。このような全身性の骨壊死症の一部分として、大腿骨顆部に比較的小さな壊死が生じて軽微な障害を起こす場合と、高齢者に誘因もなく突然、大腿骨顆部広範に壊死が生じて大きな障害を生じる特発性膝壊死(とくはつせいひざえし)と呼ばれる場合の2種類があります。ステロイド薬投与に伴う大腿骨顆部骨壊死は、20〜40代のステロイド薬大量投与例にみられますが、壊死部が限局していて膝関節に大きな障害を生じることは多くありません。
 ここでは、ステロイド薬投与に関係しない大腿骨顆部骨壊死について述べます。

原因は何か

 原因は不明ですが、何らかの血流の障害が関係している可能性があります。また、高齢で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)があり、骨の力学的強度が下がっていることも関与していると考えられています。

症状の現れ方

 主に60代の女性に、突然の痛みで発症します。痛みは非常に強く、歩行時はもちろん、歩行しなくても持続性の痛みを感じることもあります。
 発生部位は大腿骨の内側顆部が多いのですが、外側に発生することもあります。X線上は初期は大腿骨顆部の不整像を認めますが、進行すると骨が陥没し、円形の骨が平坦な形状となります。
 初期の激しい疼痛は、しだいに軽快して改善する例もありますが、高齢で骨が脆弱化(ぜいじゃくか)している例では骨の陥没破壊が進行し、関節軟骨も消失して関節症になります。進行とともに痛みは増強し、関節周辺がはれて関節水腫(かんせつすいしゅ)(ひざに水がたまること)が起こり、関節の動きが悪くなります。進行とともに持続的な歩行困難になります。

治療の方法

 初期の疼痛の著しい時は安静にし、歩行時には杖を使用するようにします。大腿骨顆部の破壊が進行して痛みが軽快しない場合は、下肢の荷重軸を変更させて大腿骨顆部にかかる負荷を減らす骨切り術や、破壊が著しい時には人工膝関節置換(ちかん)手術を行うこともあります。
 人工膝関節置換術も治療成績がよく、耐用年数も改善されてきており、疼痛が強い場合には広く行われています。