脊椎カリエスとはどんな病気か

 肺からの結核菌(けっかくきん)が血行性に運ばれて発症する結核性脊椎炎です。脊椎の部位別には腰椎(ようつい)、胸椎(きょうつい)、胸腰椎などの順に多く、頸椎(けいつい)はまれです。
 最初に椎体(ついたい)が破壊され、次いで椎間板(ついかんばん)にも病巣が波及し、進行すると隣接した椎体にも病巣が広がります。病気が進行すると、椎体内に乾酪壊死(かんらくえし)といわれるチーズの腐ったような壊死巣が形成され、椎体周囲に膿瘍(のうよう)が形成されます。腰椎では腸腰筋の筋肉内に膿瘍が形成されますが、椎体周囲の膿瘍や腸腰筋膿瘍は重力のため臀部(でんぶ)、鼠径部(そけいぶ)などに降下して流注膿瘍となります。さらに進行すると椎体が潰れ、後弯(こうわん)変形を生じます。
 脊柱(せきちゅう)後弯変形は、脊髄(せきずい)麻痺や心・肺機能障害の原因となるため注意が必要です。また、近年はHIV(エイズウイルス)感染が結核感染の危険因子として注目されています。

原因は何か

 大部分は肺に病巣を形成した結核菌が血行性に運ばれて発症しますが、まれに泌尿器が感染源となることがあり、明らかな肺病変がない場合もあります。発生頻度は減少傾向にありますが、近年は高齢者の罹患例が増加しています。

症状の現れ方

 全身的には微熱、食欲不振、全身倦怠感などが、局所症状としては腰背部痛、脊柱の硬直などがみられます。腰背部痛は化膿性脊椎炎に比べると軽度で、緩やかに経過します。罹患部位の脊椎の叩打痛(こうだつう)(叩くと痛みが出る)も特徴のひとつです。
 膿瘍の症状としては、腹部、臀部、鼠径部の突っ張り感や重苦しさですが、腸腰筋膿瘍では疼痛のため股関節の伸展が制限され、屈曲位をとります。また、結核性の肉芽(にくげ)、膿瘍や後弯などの脊柱変形により脊髄麻痺を生じると、下肢の脱力、しびれや歩行障害が現れます。

検査と診断

 単純X線写真では椎間板腔が狭くなり、椎体の不整像がみられ、進行すると椎体が破壊され楔(くさび)状になり、後弯を生じます。また、たまったうみが胸椎では脊柱の脇に紡錘状陰影(ぼうすいじょういんえい)として、腰椎では腸腰筋膿瘍陰影としてみられます。CT検査では、椎体内や周囲の膿瘍像や壊死した骨の石灰化像がみられます。
 MRIは病巣の広がりや神経との関係を知るうえで重要な検査です。とくに造影MRIでは、病巣中央の乾酪壊死巣を取り巻く反応性肉芽が造影される所見が特徴です。
 血液検査では白血球数の増加やCRPの陽性がみられますが、特徴的ではなく、ツベルクリン反応や喀痰(かくたん)検査が必要です。
 確定診断は、生検(針で組織の一部を採取する検査)によって得られた組織や膿瘍の顕微鏡検査や培養検査で結核菌を同定することです。培養検査は4〜8週間かかりますが、最近は菌のDNAやRNAを利用した検査法が行われ、早期に診断が可能になっています。

治療の方法

 保存的治療が原則で、抗結核薬による化学療法が基本になります。進行して骨破壊が著しい場合や、脊髄麻痺が出現した場合には、手術的治療が行われます。また、小児で後弯を生じた場合、進行性で重度の変形に進行することがあるため、手術が必要となる場合があります。

脊椎カリエスに気づいたらどうする

 脊椎カリエスは感染症であり、周囲に結核に感染した人がいて、前に述べたような症状がある場合には、すみやかに検査を受けるべきです。最近では、結核に感染したことのない若年者に発生することもあり、注意を要します。
 脊椎カリエスの診断がなされた場合、結核予防法が適応され、排菌していないかなどの検査が行われます。