角膜化学腐蝕とはどんな病気か

 酸やアルカリが眼に入って、角膜がただれる病気です。

原因は何か

 仕事中の事故で眼に入ることが多く、男性に多いのが特徴です。酸よりアルカリのほうが重症で、とくに水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)は非常に状態が悪くなります。また、熱いアルカリや酸が飛入した時は角膜のやけど(熱傷(ねっしょう))も伴うため、よりいっそう状態は悪くなります。

症状の現れ方

 酸やアルカリが入ると強い充血・痛みを伴って眼が見えなくなり、自分で眼をあけるのもつらい状態になります。
 ひどい場合は角膜の強い混濁が残り、まぶたの側と眼球の側がくっついてしまうような場合もあります。さらにひどくなると、角膜潰瘍(かいよう)から角膜穿孔(せんこう)(孔(あな)があく)を生じて、失明に至るケースもあります。

検査と診断

 詳しい検査をするまでもなく、状況から化学腐蝕であることは明らかなので、応急処置を優先します。
 涙のpH(通常は中性)をpH試験紙で測って、どの程度、酸性・アルカリ性に傾いているかを判定し、治療や予後判定の参考にします。

治療の方法

 まず、アルカリや酸を洗い流すことが重要なので、大量の生理食塩水でとにかく洗眼します。


 セメントのような固形のものが眼の表面にはりついている場合(図26)は(この固形物が涙に溶けてアルカリが放出され、慢性的に眼表面が障害される)、洗っても取れないため、手術で摘除します。その後は、炎症を抑制するため副腎皮質ストロイド薬の点眼・内服と、感染予防のため抗菌薬点眼を行い、眼帯や治療用ソフトコンタクトレンズで眼の表面を保護します。
 これらの薬物治療で、初期の炎症が落ちついたあとも強いにごりやはれが残った場合は、角膜移植を行うことになります。しかし、重症度にもよりますが、角膜移植の成績は必ずしもよくありません。

角膜化学腐蝕に気づいたらどうする

 アルカリや酸が飛入した時点で、すぐに自分で大量の流水で洗い流すことが極めて重要です。これをするかしないかで、あとの経過に大きな違いが出てきます。
 また、入ったものの性質が重要なので、その成分がわかるようなものを眼科に持参して医師に見せてください。治療や予後判定のうえで非常に役立ちます。
 この病気で最も大切なことは、酸やアルカリが眼に入る可能性のある危険な作業にあたっては、ゴーグルなどの眼を守る手段をとって予防することです。

関連項目

 角膜潰瘍