網膜静脈閉塞症とはどんな病気か

 網膜静脈に血栓ができて、血液の流れが悪くなる病気です。血液が血管外にあふれ出して、網膜に出血やむくみを起こします。詰まる部位によって中心静脈閉塞症(ちゅうしんじょうみゃくへいそくしょう)と分枝静脈閉塞症(ぶんしじょうみゃくへいそくしょう)があります。

原因は何か

 動脈閉塞症と同様、年齢が高いほど起こりやすいので、加齢が大きな要因と考えられています。やはり糖尿病高血圧症、動脈硬化症の人では起こる率が高くなります。


 分枝静脈閉塞症は、交差部で静脈が動脈に圧迫されて血の流れが悪くなることが、血栓形成の一因と考えられています(図37)。

症状の現れ方

 症状は、中心静脈閉塞症と分枝静脈閉塞症では違いますし、同じ分枝静脈閉塞症といっても詰まる部位によってずいぶん違います。まったく自覚症状がないこともめずらしくありません。出血や浮腫(ふしゅ)が網膜の中心に及んだ場合、視力が低下してきますが、症状の現れ方はゆっくりです。
 一般に、中心静脈閉塞症では症状が強く出ます。
 静脈閉塞症は急性期(静脈が詰まった直後)には、出血やむくみによる症状が主体ですが、何年かのちに突然、硝子体(しょうしたい)出血を起こすことがあります。硝子体出血を起こすと、黒い塊が眼の前に現れて浮遊したり、出血量が多ければほとんど物が見えなくなったりします。

検査と診断



 眼底検査によって容易に診断できます。静脈が怒張(どちょう)(ふくれる)し、ハケで掃いたような特徴的な網膜の出血がみられます。これは網膜神経線維(もうまくしんけいせんい)の走行に沿って出血するためです。分枝静脈閉塞症では、詰まった部位を要にして、扇状に出血が広がります(図39)。中心静脈閉塞症では視神経乳頭を中心にして放射状に出血します(図40)。
 蛍光(けいこう)眼底造影は、ほとんど必須といってよい検査です。網膜血管の循環状態、血管の閉塞、網膜のむくみなどが明瞭に映し出されます。視力に影響するのは、主として網膜中心部のむくみです。詳しく眼底を見ることで診断できますが、新しく開発されたOCT(光学的干渉断層計)では網膜の断面図を見ることができます。

治療の方法

 治療の方法はおおまかに、経過観察、薬物治療、レーザー網膜光凝固術(もうまくひかりぎょうこじゅつ)(コラム)、硝子体手術があります。静脈閉塞症は、詰まる部位、出血の範囲・程度、経過など、人によって千差万別です。軽症であれば、経過をみているだけで自然に治ってしまうこともあります。
 薬物治療では血管を拡張させる薬、血管を強くする薬、出血やむくみの吸収を促進する薬などが内服で使われます。
 レーザーによる網膜光凝固の目的は2つあります。ひとつは急性期での出血、浮腫の吸収を促進することで、網膜中心部にむくみがある場合によく行われます。もうひとつは、硝子体出血を予防することで、静脈閉塞の程度が強く、かつ範囲が広い場合に行われます。
 硝子体手術は、硝子体出血を起こした場合の治療として以前より行われていましたが、最近は網膜中心部のむくみを取るためにも行われるようになりました。詰まっている部位で血管の鞘(さや)を切り開く手術(血管鞘切開術(けっかんしょうせっかいじゅつ))もありますが、今のところ一般的ではありません。

網膜静脈閉塞症に気づいたらどうする

 緊急に治療を要する病気ではありませんが、レーザーや手術など積極的な治療のタイミングというものがあります。眼科専門医に診てもらい、経過に応じた治療を受けることが必要です。