黄斑上膜とはどんな病気か

 加齢に伴って起こる特発性と、ほかの眼病に伴って起こる続発性がありますが、ここではより一般的な特発性黄斑上膜についてのみ解説します。


 黄斑部網膜の上にある後部硝子体皮質(こうぶしょうしたいひしつ)が、半透明の膜状の組織になったものが黄斑上膜です(図56)。黄斑上膜がすべて見え方に影響するわけではなく、自覚症状のない黄斑上膜もたくさんあります。黄斑上膜の厚み、収縮の度合いなどによっては、視力が低下します。

原因は何か

 黄斑円孔(おうはんえんこう)と同様に、硝子体の加齢性変化が原因になります。最も典型的なでき方を説明しておきます。


 まず、後部硝子体剥離(はくり)が起こります。その時、何かの拍子に黄斑部の後部硝子体皮質が網膜の表面にとり残されます。とり残された硝子体皮質はやがて線維状になって収縮します。黄斑上膜が収縮することにより網膜にしわがよったり、網膜がずれたり、中心部に水がたまったりすると見え方が影響されます(図57)。

症状の現れ方



 黄斑上膜は多様な病気で、症状の現れ方も一様ではありません。視力低下、変視症(へんししょう)(物がゆがんで見える)、霧視(むし)(霧がかかったように見える)などが多い症状ですが、突然現れることはなく(突然気づくことはある)、いつとはなしにということが多いようです。変視症は黄斑円孔の場合とはまったく違い、波打って見えることが多いようです(図55‐c)。

検査と診断

 眼底検査で簡単に診断がつきます。OCT(光学的干渉断層計)は、黄斑上膜の下にある網膜の状態を描き出すので、とても有用です。
 以前は、黄斑上膜による視力低下は、光が上膜にさえぎられたり、網膜にしわがよったり、網膜がずれることで細胞の並びが乱れたりすることなどが原因と考えられていました。しかし、OCTで網膜の様子がよく観察できるようになると、中心部網膜のなかや下に水がたまることが視力低下の主因であることがわかってきました。

治療の方法

 治療をするなら、硝子体手術が唯一の方法です。しかし、黄斑上膜はすべて治療しなくてはいけないものではありません。程度によっては治療の必要はないので、視力障害や変視症の程度、発症してからの期間などさまざまな条件を考慮して治療すべきかどうかを考えます。
 また、失明に至るという病気でもないので、本人が望まなければ無理に手術する必要はありません。

黄斑上膜に気づいたらどうする

 徐々に発症・進行する病気ですからあわてることはありませんが、とりあえず治療方針を決める必要があります。専門医に診てもらって、手術の要否、経過観察の要否などを診断してもらうのがよいでしょう。手術するかどうか、するならいつするかはよく話を聞いてから決めたほうがよいでしょう。