外傷性視神経症とはどんな病気か

 主に、眉毛部外側の打撲によって、視神経管(視神経が頭蓋内に入っていく際に通るトンネルのような細い骨の穴で、視束管(しそくかん)ともいう)で視神経が障害されることによる同側の視力・視野障害のことをいいます。重症の場合では光覚(こうかく)を失うこともあるため、緊急に眼科的検査、診断および治療が必要になります。

原因は何か

 多くは、外傷の衝撃による視神経管内での視神経線維の血管原性浮腫(けっかんげんせいふしゅ)(むくみ)や循環障害が原因になります。まれに、視神経管内の血腫(けっしゅ)による圧迫や、視神経管骨折による視神経の直接損傷がCTなどの画像診断で確認される場合もあります。外傷のなかでも、オートバイや自転車などによる交通事故、墜落事故、前額部の強打が原因として多く報告されています。いずれにせよ眉毛部を強く打っている時は注意が必要です。

症状の現れ方



 眉毛部の打撲傷(図66)に伴う同側の著しい視力低下や、視野障害(「上半分が見えない」などの水平半盲(すいへいはんもう)が多いとされる)が起こります。鼻出血を伴うこともあります。
 ただし、意識障害のため、または受傷直後でまぶたがはれて眼がふさがっているため、症状を自覚できない場合もあります。その意味で受傷後早期の眼科専門医による診察、検査が大変重要です。

検査と診断

 早期の検査としては、ベッドサイドや救急外来でも可能な瞳孔(どうこう)反応検査が有用です。両眼の瞳孔に交互に光をあてて対光反応の左右差をみる検査で、左右差が明らかな場合は視神経障害の可能性が高くなります。この検査は、たとえ意識障害がある場合でも行うことができます。
 この検査で陽性の場合は、視力、視野、眼底などの眼科的検査を進めていきます。画像診断として、視束管撮影、眼窩部(がんかぶ)CT検査を行い、骨折や血腫の有無を確認します。

治療の方法

 画像診断で明らかな骨折が認められた場合は、脳外科による観血的(かんけつてき)治療(視神経管開放手術)が必要になります。術後は後述の薬物療法も併用します。また、積極的薬物治療に反応していったん回復した視機能が再度悪化する場合は、血腫の存在が疑われるため、視神経管減圧術を行うことがあります。
 画像診断で明らかな骨折が認められない場合は、視神経管内の視神経線維の浮腫を軽減させる目的で、全身状態に問題がなければ、高張浸透圧薬(こうちょうしんとうあつやく)(マンニトールなど)の点滴と、副腎皮質ステロイド薬(プレドニゾロンなど)の点滴を開始します。同時に、神経保護作用のあるビタミンB12製剤(メチコバールなど)や循環改善薬の内服を行います。
 ただし、受傷後より光覚消失が持続するような重症の場合は、いずれの治療法においても視力予後は不良です。
 明らかな骨折がない患者さんに対して非観血的(ひかんけつてき)治療(積極的薬物治療)を行うべきという考え方と、すべての患者さんに観血的治療(視神経管減圧手術)を行うべきという考え方があります。今なお結論が出ていませんが、積極的薬物治療を考えるべきという意見が多くなっています。

外傷性視神経症に気づいたらどうする

 眉毛部を強く打撲してしまった場合は、まず見え方の左右差を比較することが大切です。視力・視野に異常を感じたら、早急に眼科医の診察を受けるようにしてください。まぶたがはれて眼が開かない、または意識がない場合でも、眼科医による瞳孔検査は最低限受けておくべきでしょう。早期発見・早期治療開始が大変重要です。