大脳視中枢と視機能障害とはどんな病気か



 眼球でとらえた視覚情報は、眼球から後方に延びる視神経を通じて大脳の後頭葉(こうとうよう)にある視覚中枢へと投影されます。その途中、脳下垂体(のうかすいたい)の上方で左右眼からの視神経が交わって視交叉(しこうさ)をつくります。視交叉では、両眼の視野の中心に引いた垂直経線から、右側の視野を担当する視神経線維は左側にまとまって左の視索(しさく)を形成し、左視野を担当する視神経線維は同様に右視索を形成し、それぞれ左右の後頭葉視覚中枢(こうとうようしかくちゅうすう)に至ります(図70)。


 したがって、視索以降の後頭葉視覚中枢の病変では、病側と反対側の視野が両眼性に障害される同名性(どうめいせい)視野障害(同名半盲(どうめいはんもう)など)を起こすことが特徴的です(図71)。まれに、両側の後頭葉視覚中枢が障害されると両側の同名半盲、すなわち視野がなくなって見えない状態になり、これは皮質盲(ひしつもう)と呼ばれます。
 また、後頭葉視覚中枢に投影された視覚情報は、その周囲(大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)と呼ばれる)に運ばれて、それぞれ形態や顔貌(がんぼう)や色、動きなどの視覚情報として二次処理されます。
 この部分の障害では、見えているが人の顔や表情がわからない(相貌失認(そうぼうしつにん))、外界の色がなくなり白黒テレビのように見える(大脳性色覚異常(だいのうせいしきかくいじょう))、物体は見えているがそれを指さすことができない(視運動性失調(しうんどうせいしっちょう))などの特異的な症状を示すことが知られており、高次脳機能(こうじのうきのう)障害とも呼ばれます。

原因は何か

 後頭葉視覚中枢での出血(血腫(けっしゅ))、梗塞(こうそく)、腫瘍(しゅよう)が主な原因になります。高齢者では、血管障害による梗塞が原因の多くを占めます。若年者でも脳腫瘍や変性疾患、外傷後の硬膜外血腫(こうまくがいけっしゅ)などが原因になることがあります。

検査と診断

 眼科での視野検査で同名性の視野障害が検出されれば、頭部CTやMRIなどの画像診断で原因となっている病巣を確認する必要があります。

治療の方法

 この病気の元となった病気の治療が原則です。後頭葉の腫瘍や血腫が原因の場合は脳外科的治療の適応になりますが、脳梗塞の場合は保存的治療となります。

大脳視中枢と視機能障害に気づいたらどうする

 「右側が見えにくい」場合は、必ずしも「右眼だけが悪い」とは限りません。両眼の右のほうの視野が障害される右同名半盲の可能性もあります(左の場合も同じ)。
 必ず片眼ずつで視野を確認し、両眼の右側視野に異常があることに気づいた場合は、眼科での視野検査を受けるようすすめます。