近視とはどんな病気か

 近視は通常、眼が奥行き方向に伸びることにより起こります(軸性近視(じくせいきんし))。日本では人口の6割以上が近視で、頻度が高い病気です。
 軽度の近視(屈折異常(くっせついじょう)がマイナス3D(ディオプター:屈折度)未満)および中等度近視(マイナス3D以上マイナス8D未満)は眼鏡をかければよい視力が出るので心配ありませんが、強度近視(マイナス8D以上の近視)になると、網膜剥離(もうまくはくり)などの合併症を生じる場合が多いので注意が必要です。

原因は何か

 近視の成因には、遺伝因子と環境因子があると考えられています。遺伝因子については、一卵性双生児では二卵性双生児の小児と比較して屈折度が類似していること、米国での小学生を対象とした追跡研究で、両親が近視の小児は、片方の親が近視である場合および両親がともに近視でない場合と比較して、近視の頻度が明らかに高いという結果などから、その存在が示唆されます。また、近視の家系に関する分子遺伝学的研究では、近視に関係する遺伝子に関して、染色体上に12の遺伝子座が同定されています。
 しかし、このようなひとつの遺伝子で説明される近視はまれで、多くは多因子遺伝であると考えられています。一方ネパールで、シェルパの子どもの行く学校と、都会の学校で近視度を比較したところ、近くを見ることの多い都会の学校の子どもに近視が明らかに多いという報告などから、近くを見るという環境因子は近視化に重要な役割を果たしていると思われます。

症状の現れ方

 子どもが眼を細めてテレビを見るようになった場合、近視が進行したサインといえますが、学校の検診で視力低下を指摘されて気がつくことが多いようです。軽度の近視から、成長とともに中等度の近視に進行する場合が多く、20歳過ぎまで進行します。

検査と診断

 視力検査および屈折検査を行います。凹(おう)レンズを通して見た場合、視力が改善すれば近視である証拠となります。学童期で視力低下が起こり、眼鏡で矯正しても視力が出ない場合は、別の眼の病気を疑う必要があります。

治療の方法

 黒板が見にくくなった時点で眼鏡をかけるように指導します。視力としては0・3程度に低下した時点が決断の時期です。眼鏡の度数は、近視を完全に矯正する度数よりはやや弱めに合わせます。はじめは眼鏡を1日中かけている必要はなく、見にくい時だけかけます。
 また日常的な注意事項として、明るい環境でものを見る習慣とし、寝転んだり、悪い姿勢で本を読んだりすることはやめるべきです。また、読書やゲームを続けて長時間せずに、30分たったら休憩を入れるようにしましょう。近視が進んだら、授業用の少し度数が強めの眼鏡と、家庭用の弱めの眼鏡を使い分けると、進行防止になると思われます。
 遠視があって、調節系が過緊張して近視になる場合もあります。この場合は、調節を麻痺(まひ)させる点眼薬で近視がよくなる可能性があります。
 コンタクトレンズは、中学生になれば自分で管理できるようになります。見え方の質はハードレンズのほうがよいのですが、スポーツをする場合は、ソフトレンズのほうが落ちたりずれたりしないため、よいと思います。
 屈折矯正(くっせつきょうせい)手術は、成長期には近視が進行するため、20歳未満の場合は認められていません。成人になれば、屈折矯正手術も近視矯正の選択肢のひとつですが、老視の年齢になった場合に、近くを見る時、軽い近視があるほうが有利なので、慎重に考える必要があります。

近視に気づいたらどうする

 成長期に遠くが見にくくなった場合、近視の始まりであることが多いのですが、網膜の病気である可能性もあるので、眼科を受診することをすすめます。