鼓膜炎とはどんな病気か

 外耳と中耳の境界である鼓膜に、限局した炎症が起きている状態です。鼓膜に水疱(すいほう)の生じる水疱性鼓膜炎と、肉芽(にくげ)やびらんの生じる肉芽腫性(にくげしゅせい)鼓膜炎に分けられます。
 子どもよりも20〜40代の成人女性に多く、両側の耳に起こることはまれです。
 中耳炎(ちゅうじえん)と似た症状ですが、耳鼻咽喉科専門医の診察を受け、顕微鏡やファイバースコープで鼓膜を拡大して診察を受ければ、容易に診断できます。

●水疱性鼓膜炎(すいほうせいこまくえん)
 水疱性鼓膜炎は、インフルエンザなどのウイルス感染が原因と疑われていますが、まだはっきりしていません。
 激しい耳の痛みが特徴で、耳だれはあまりありません。時々、中耳炎を合併することもあり、その場合は難聴(なんちょう)や発熱を訴えます。
 鼓膜に水疱が認められるので、すぐ診断がつきます。ただ、まれに内耳に影響を与えて、感音難聴(かんおんなんちょう)を起こすことがあるので、耳鳴りなどの症状が伴うようなら、注意が必要です。ただちに聴力検査を受けてください。
 治療は抗生剤、鎮痛薬の内服です。痛みの強い場合は、痛みを緩和するために水疱をつぶすことがありますが、通常、点耳(てんじ)などの局所処置は必要ありません。感音難聴が生じた場合は、突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)に準じて、副腎皮質ステロイド薬、ビタミン剤、循環改善薬などが使われます。

●肉芽腫性鼓膜炎(にくげしゅせいこまくえん)
 細菌感染が原因といわれていますが、まだはっきりしません。痛みは軽度ですが、がんこな耳だれが続きます。耳の詰まった感じや耳鳴りを訴える人もいます。
 顕微鏡で観察すると20%に小穿孔(しょうせんこう)(穴)を認め、中耳の慢性炎症の影響を受けていることがあります。鼓膜を観察すれば診断は簡単ですが、中耳疾患を見逃さないよう、疑わしい場合は側頭骨CT検査なども行われることがあります。
 治療は耳だれを調べて起炎菌を検出し、その感受性検査の結果から、適切な抗生剤を耳浴(じよく)、点耳などで局所投与します。
 これで効果がない場合には肉芽を切除し、トリクロリールなどの薬品で焼灼(しょうしゃく)(焼くこと)する場合もあります。薬物療法のみでなく、適切な焼灼などの局所処置が重要で、週1・2回根気よく繰り返すことで徐々に軽快してゆきます。