先天性真珠腫とはどんな病気か

 胎生期(たいせいき)(赤ちゃんが子宮のなかで発育している時期)に、耳のなかに上皮細胞が迷い込んで増殖するものを先天性真珠腫と呼びます。手術の時に見える真珠腫が白色の丸い塊で、あたかもきれいな真珠のように見えることからこの病名がつきました。
 頭部のさまざまな部位に発生しますが、ほとんどは耳の骨の近くに発生します。真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)全体のうち、先天性の占める割合は5%くらいといわれています。

症状と受診のポイント

 症状と病院受診のきっかけから2つに分類されています。
クローズ型
 乳幼児期に発見される嚢胞型(のうほうがた)(クローズ型)は、正常な鼓膜のなかに白色塊が透けて見えたり、鼓膜に白色塊が接しているのが見えて、初めて診断されます。
 耳あかを取る時や3歳児健診の時に偶然発見されることが多く、それまで耳の症状はほとんどありません。まれに難聴、または急性中耳炎による耳の痛みで耳鼻咽喉科を受診して発見される場合もあります。
オープン型
 これに対し、学童期から成人になって発見されることが多い膜型(まくがた)(オープン型)の場合は、難聴の原因検査をして見つかるタイプです。
 鼓膜を見ても、真珠腫ははっきり見えません。鼓膜は正常に見えることが多く、伝音難聴(でんおんなんちょう)の治療目的の手術で発見されます。中耳よりも深部の乳突洞(にゅうとつどう)に発生するタイプでは、顔の動きが悪くなった、口から水がこぼれるなどの顔面神経麻痺症状で発見される場合もあります。

検査と診断

 鼓膜をよく観察することが重要で、正常鼓膜の奥に白色塊を確認することで診断できます。しかし、中耳にあっても膜型のもの、耳小骨の裏面や乳突洞内など隠れた部位に発生したものは耳鏡(じきょう)所見では発見できません。このような場合は側頭骨ターゲットCTが不可欠であり、かなり小さな真珠腫まで診断が可能です。
 聴力検査は、真珠腫による伝音難聴、混合難聴(こんごうなんちょう)の程度を把握するために実施し、乳幼児では聴性脳幹反応(ABR:脳波を使った聴力検査)を行います。
 先天性真珠種に似ている病気は、良性腫瘍(神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)、腺腫(せんしゅ)、グローム腫瘍)、コレステリン肉芽腫(にくげしゅ)などです。また(後天性)真珠腫性中耳炎と区別がつかない場合もあります。

治療の方法

 後天性真珠腫と比べると、通常は病気の進行は遅いのですが、放置すれば徐々に大きくなって周囲に進展していきます。徐々に増大して骨を破壊するので、早期に手術を行って完全に摘出します。さらに耳小骨連鎖(じしょうこつれんさ)が破壊されている場合は、連鎖再建術も同時に行います。
 時期を逃さず摘出すれば、予後は良好です。手術方法は慢性(化膿性)中耳炎真珠腫性中耳炎を参照してください。