口蓋裂とはどんな病気か



 口蓋裂とは口と鼻を隔(へだ)てている上あご(口の蓋)に亀裂(きれつ)が生じて生まれてくる病気のことをいいます(図10)。口蓋は口蓋突起(とっき)という組織が左右からくっついて形成されます。妊娠8〜12週ごろに口蓋が形成されますが、その過程で異常が起これば口蓋裂となります。

原因は何か

 遺伝的要因に加えて、赤ちゃんが母親の胎内で順調に発育していく過程を妨げようとする要因が複雑に作用して発生すると考えられています。たとえば、妊娠10週ごろには舌が口蓋突起の間に存在していますが、下顎が大きくなり舌が下方に移動して口蓋突起がくっつきます。
 しかし、下顎が過度に小さい場合には口蓋突起の間にいつまでも舌が介在(かいざい)して口蓋突起の癒合(ゆごう)(くっつくこと)を妨げ、口蓋裂が発生する場合があります。このような場合にはU字型の幅広い口蓋裂がみられます。

症状の現れ方

 口蓋裂にも程度によっていろいろな型があります。口蓋全体が切れている場合や、軟口蓋(なんこうがい)と呼ばれる口蓋の奥の部分だけに裂があったり、口蓋の粘膜(ねんまく)は正常ですが筋肉が切れている場合(粘膜下口蓋裂といいます)などがあります。

治療の方法

 口蓋裂の赤ちゃんでは、おかあさんのおっぱいを直接飲むことは困難です。口蓋裂専用人工乳首による哺乳をすすめます。また、裂が大きい場合にはホッツ床(しょう)と呼ばれる哺乳床(ほにゅうしょう)(プラスチックのプレート)を口にはめます。
 言語の発達面を考慮して口蓋裂の手術はおおむね生後12〜18カ月ごろに行います。しかし、早期に手術をしますと、手術の方法によっては上顎の成長発育を妨げ、歯の噛み合わせが悪くなる場合があります。そのため、軟口蓋部を12カ月ごろに閉鎖し、18カ月ごろに硬口蓋を閉鎖する二期的手術を行う施設もあります。手術のあとは言語治療が必要です。また、口蓋裂の赤ちゃんは滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)を引き起こす場合が多く、耳鼻咽喉科によるフォローアップが必要です。

口蓋裂に気づいたらどうする

 口蓋に明らかな裂がある場合には容易に診断できますが、粘膜下口蓋裂は見落とされる場合があります。哺乳の力が弱いとか、鼻にかかったような発音である場合には、専門家の診察を受けましょう。

患者として注意すべきこと

 口唇裂の項で述べたように、口蓋裂においても手術のみならず、言語治療、耳鼻咽喉科、矯正(きょうせい)歯科などチーム医療が求められます。