唾液腺腫瘍はすべての唾液腺に発生しますが、耳下腺(じかせん)に最も多く(70〜80%)、次いで小唾液腺(10〜15%)、顎下腺(がくかせん)(5〜10%)で、舌下腺(ぜっかせん)(1%)が最も少ないのです。悪性腫瘍(がん)と良性腫瘍の発生の割合は、耳下腺では悪性の発現は良性の約4分の1、顎下腺では2分の1、小唾液腺ではほぼ同数となります。

多形腺腫(たけいせんしゅ)

唾液腺腫瘍とはどんな病気か

 多形腺腫は良性腫瘍で全唾液腺腫瘍の約60%を占める最も頻度の高いもので、耳下腺で最も多く発生します。また耳下腺に発生する良性腫瘍の75%が多形腺腫です。顎下腺および小唾液腺に発生する多形腺腫の発生率は共に耳下腺の20分の1で、舌下腺ではさらに少なくなります。

原因は何か

 唾液腺を構成する細胞が腫瘍化したものです。

症状の現れ方

 耳下腺に発生した多形腺腫では、無痛性の腫脹(しゅちょう)(はれ)が現れます。腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)は比較的硬く、形は凹凸不整です。周囲組織との境界ははっきりしています。顔面神経の麻痺を来すことは、ありません。
 多形腺腫の発育速度は極めてゆっくりで、数年から10年以上の経過をとるものが多くあります。しかし、ある時点から急速な発育を示すことがあり、この場合は既存の多形腺腫ががん化した可能性があるため、注意を要します。
 口腔内の小唾液腺由来の多形腺腫は、口蓋部すなわち口蓋腺の分布部位に多く発生します。口蓋の多形腺腫は片側性に硬軟口蓋境界部付近に現れます。

治療の方法

 治療法は腫瘍の外科的切除のみです。

唾液腺(だえきせん)の悪性腫瘍(あくせいしゅよう)(がん)

唾液腺腫瘍とはどんな病気か

 唾液腺に発生する悪性腫瘍(がん)には、腺様嚢胞(せんようのうほう)癌、粘表皮(ねんひょうひ)癌およびその他のがんがあります。腺様嚢胞癌は小唾液腺の腫瘍の25%を占めます。とくに口蓋腺で比較的多く現れます。粘表皮癌は全唾液腺腫瘍の10%を占め、約半数は耳下腺に発生し、次いで口蓋腺に発生します。

原因は何か

 唾液腺を構成する細胞が悪性腫瘍化したものです。

症状の現れ方

 限局性の腫瘍が各唾液腺に発育しますが、良性腫瘍と異なり、周囲組織との境界が不明瞭なことがあります。また痛みを伴ったり、顔面神経の麻痺症状が現れたりします。

治療の方法

 原則的に、治療法は腫瘍の外科的切除です。唾液腺腫瘍については口腔外科専門医または頭頸部がんを専門とする耳鼻科医にご相談ください。