埋伏歯とはどんな病気か



 歯が生えてくる時期が過ぎても、歯(歯冠(しかん))の全部または一部が、歯ぐきの下またはあごの骨のなかに埋まって出てこない状態の歯のことをいいます。1歯または数歯が埋伏しているものから、多数歯が同時に埋伏しているものまでさまざまな場合があります(図26)。

原因は何か

 多くの埋伏歯は、乳歯が早期に脱落したり歯が抜けずに残ったり、あごの骨の不十分な発育などにより、永久歯の生えてくる場所が不足することで生じます。また、歯が骨と癒着してしまったり、歯を取り囲む周囲の骨や歯ぐきの肥厚、歯そのものの形や大きさの異常など、正常な萌出を妨げる要因があると、埋伏歯が生じる場合もあります。
 多数の埋伏歯が認められる場合には、遺伝的要素、先天異常、内分泌系疾患、栄養障害などの原因が疑われることもあります。

症状の現れ方

 乳歯では乳臼歯(にゅうきゅうし)が埋伏する場合がありますが、乳歯が埋伏することは極めて少なく、多くの場合は永久歯に認められます。永久歯では上下の親知らず(智歯(ちし)・第三大臼歯)、上あごの前歯および犬歯、小臼歯の順で多く、不正咬合の原因になることも少なくありません。
 一般に、埋伏歯は位置や方向の異常を伴うことが多いため、埋伏している歯が周囲の歯の根を吸収し、動揺を引き起こすなど、さまざまな障害を引き起こす場合があります。また、歯冠の一部が埋伏している場合は、歯肉と歯の間で細菌感染が生じやすく、埋伏歯周囲の歯ぐきやあごの骨に炎症を引き起こす場合もあります。

治療の方法



 埋伏歯の治療としては、噛み合わせや周囲の歯に悪影響を及ぼすおそれがある場合には主に抜歯が選択されますが、骨の深い位置に埋伏している場合は経過観察を続ける場合もあります。また外科的に埋伏歯の歯冠の一部を露出させ、矯正(きょうせい)装置を用いて口腔内に牽引(けんいん)誘導し、正しい位置に生やす治療を行うこともあります(図27)。