総義歯とは



 総義歯とは、何らかの原因によって、片あごまたは上下両あごのすべての歯を失った人に装着される入れ歯(義歯)のことです。コンプリートデンチャー、全部床義歯(ぜんぶしょうぎし)、フルデンチャーとも呼ばれています(図44)。

総義歯の構造と種類

 総義歯は、歯の喪失によって失われた咀嚼(そしゃく)・発音などの機能障害、さらに顔貌(がんぼう)の変化を回復するために適用する義歯です。総義歯は、人工歯(じんこうし)と義歯床(ぎししょう)から構成されています。
 人工歯とは、欠損・崩壊した天然歯の形態と機能を回復するもので、種類には(1)レジン歯、(2)陶歯(とうし)、(3)金属歯があります。義歯床とは、総義歯の体部および基底部として人工歯を担い、かつ基底面で義歯の支持基盤である口腔粘膜と密着して、入れ歯を口腔内に維持させる義歯の基本的な構成部分で、種類には(1)レジン床、(2)金属床があります。
 総義歯の口腔内の維持・安定は、顎堤(がくてい)(歯喪失後の歯槽骨(しそうこつ)の高まり)および口腔粘膜に十分に適合させることによって得られます。顎堤は歯の喪失後6カ月間で大きく吸収され、その後の吸収は小さくなりますが、経時的に持続します。顎堤は入れ歯の座として入れ歯に作用する力を負担することから、顎堤の形態・性状は入れ歯の維持・安定に影響を与える重要な要因となります。

総義歯の使い方

 総義歯は口のなかに合わせて精巧につくられていますが、なにぶんにも作り物なので、口に入れてから慣れるまでには時間がかかります。今まで口のなかになかったものなので、初めは気になって外したくなりますが、まず1日我慢して入れて練習し、それでもなかなか慣れなかったり、痛んだりする時は、主治医に連絡して根気よく調整を受けることが大切です。
 総義歯は毎食後に外して洗うようにし、夜寝ている間は外して消毒液に漬けるようにします。常にあごの形は少しずつ変化しているので、入れ歯もそれに合わせて調整する必要があり、主治医のもとで定期検査を受けるようにしなければなりません。