口腔がんとはどんな病気か

 口のなか全体を口腔といい、ここにできるがんを口腔がんといいます。舌(ぜつ)がん、舌と歯ぐきの間にできる口腔底(こうくうてい)がん、歯肉がん頬粘膜(きょうねんまく)がん、上あごにできる硬口蓋(こうこうがい)がん、口唇(こうしん)がんがあります。歯肉がんは上顎(じょうがく)にできる上歯肉がんと下顎(かがく)にできる下歯肉がんがあります。
 日本では口唇がんは少なく、口腔がんの大部分が舌がんで、口腔底がん、歯肉がんの順で多くみられます。

原因は何か

 舌がんと同様、口腔内の不衛生、たばこ、アルコールなどが危険因子としてあげられています。

症状の現れ方

 多くは口腔内の痛みです。口腔底ではアフタ性口内炎と間違えられることが多く、歯肉がんではう蝕(しょく)むし歯)による痛みと間違えられて抜歯されることがあります。初期にはしみたり、違和感もありますが、進行すると痛みが著しくなり、潰瘍(かいよう)や腫瘤(しゅりゅう)を形成します。また、あごの周囲や歯肉がはれてきたりします。
 口腔内の粘膜が白くなる白斑症(はくはんしょう)はがんを伴っていることがあります。また、紅斑症(こうはんしょう)といって粘膜が部分的に赤くなり、痛みを感じたり食べ物がしみる時には初期のがんであることがあります。

検査と診断

 口腔内の診察と触診が大切です。口腔内は直接目に見える範囲ですから、視診にまさる診察はありません。疑わしい所見があれば細胞診や生検を行います。歯肉がんではあごのX線撮影(オルソパントモグラフィ)が有効です。
 またCTやMRIは周囲組織への浸潤(しんじゅん)を診断するのに有効ですが、歯の治療に使われた金属のため良好な画像が得られないこともあります。硬口蓋のがんでは、鼻腔内への浸潤の有無を診断するために、鼻咽腔内視鏡を用いた検査も行う必要があります。

治療の方法

 部位により多少違いがあります。小さくて歯槽突起(しそうとっき)から離れている口腔底がんや頬粘膜がんでは組織内照射による放射線治療が有効ですが、それ以外の部位では小さくても手術が第一選択となります。
 口腔がんでは近くに骨組織があるので、がんに十分な線量の放射線を外から照射すると周囲の骨組織が障害され、骨壊死(こつえし)などの放射線晩発性障害が生じる危険性が高くなります。そのため、手術治療が優先されます。
 手術では、小さい腫瘍でもほかの部位と異なり直接縫合することができず、植皮をしたり、皮膚粘膜修復材料を用いて一時的にカバーすることがあります。また腫瘍が骨の上や骨に近いところにある場合は、骨を削(けず)ったり一部を切除したあと、骨をおおうために再建手術を同時に行うこともあります。
 骨を大きく切除した場合の再建手術では、骨の再建と口腔粘膜の再建を同時に行わなければなりません。とくに下顎骨を切除した場合には、肩甲骨(けんこうこつ)や腓骨(ひこつ)(足の骨)で再建したり、人工骨、金属プレートで再建します。しかし、骨の再建は行わず、口腔内の再建だけで終わる場合もあります。
 また術後の咬合(こうごう)をよくするために顎間(がくかん)固定を行うこともあります。上顎の骨欠損では再建手術が難しくよい結果が得られないことが多いので、骨の再建を行わず、歯科で特殊な入れ歯を作成するほうが咬合も形態もよくなることが多いようです。

口腔がんに気づいたらどうする

 歯の周囲の痛みがあり、歯科治療をしても痛みが消えない時は、耳鼻咽喉科を受診して口腔内の診察を受けてください。