慢性扁桃炎は、慢性単純性扁桃炎、習慣性扁桃炎、病巣性(びょうそうせい)扁桃炎(扁桃病巣感染症(へんとうびょうそうかんせんしょう))に大別されます。
 慢性単純性扁桃炎は、持続的なのどの痛み、乾燥感、違和感、微熱などの症状があるものです。習慣性扁桃炎は、急性扁桃炎を年に3〜4回以上繰り返すものです。扁桃病巣感染症は、扁桃が病巣となって、身体各所に二次疾患を生ずるものです。
 ここでは、習慣性扁桃炎と扁桃病巣感染症について解説します。

習慣性扁桃炎(しゅうかんせいへんとうえん)

慢性扁桃炎とはどんな病気か

 急性扁桃炎を年に3〜4回繰り返すようになると、習慣性扁桃炎または反復性扁桃炎と呼びます。小児期に多く、小学校入学前にピークとなります。

原因は何か・症状の現れ方

 急性増悪期には、急性扁桃炎と同じ原因、症状です。咽頭痛、嚥下痛(えんげつう)、発熱、全身倦怠感(けんたいかん)、耳への放散痛などが症状としてあげられます。口蓋扁桃(こうがいへんとう)は赤くはれ、白い塊(膿栓(のうせん))が付着します。頸部(けいぶ)(首)のリンパ節が腫大して痛みを伴うことがあります。
 急性期が過ぎると、慢性単純性扁桃炎の状態になり、軽いのどの痛み、乾燥感、微熱があったり、またはほとんど症状のない場合もあります。

検査と診断

 急性扁桃炎の場合とほぼ同じですが、細菌の慢性感染があることを示す血液中のASO、ASK測定を追加して行います。

治療の方法

 保存的な薬物治療にもかかわらず、扁桃炎を繰り返し、扁桃に膿栓を認め、頸部リンパ節が腫大し、血清ASO、ASK値の上昇を認める場合には、本人または家族と相談して、口蓋扁桃、咽頭扁桃(アデノイド)を摘出します。現在のところ、明確な扁桃摘出術(コラム)のガイドラインはありませんが、藤原らの手術基準は以下のようなものです。
 急性扁桃炎の年間罹患(りかん)回数が4回以上の非扁桃摘出症例の追跡調査から、扁桃摘出インデックス(年間罹患回数×罹患年数)を算出し、8以上を扁桃摘出の適応としています。
 扁桃は免疫器官であるので、むやみに摘出するものではありません。しかし、繰り返す扁桃炎が日常生活の質に影響するようであれば、積極的に扁桃摘出を考慮したほうがよいでしょう。

扁桃病巣感染症(へんとうびょうそうかんせんしょう)

慢性扁桃炎とはどんな病気か

 扁桃病巣感染症とは、扁桃自体の症状はほとんどないか、または軽度の咽頭痛、異物感程度にすぎないにもかかわらず、皮膚、腎臓、関節などにさまざまな障害を起こす病態です。この場合、扁桃を摘出することで症状改善が得られることから、原因が扁桃にあると考えられ、扁桃病巣感染症と呼ばれています。
 代表的な二次疾患としては、掌蹠膿胞症(しょうせきのうほうしょう)、IgA腎症、胸肋鎖骨過形成症(きょうろくさこつかけいせいしょう)がありますが、そのほか乾癬(かんせん)、関節リウマチ、微熱も扁桃病巣感染症に含まれます。

原因は何か・症状の現れ方

 掌蹠膿胞症では、主に手のひらと、足底部にだけ小さな膿疱が多数現れ、赤くなり、皮膚がむけることを繰り返すものです。皮膚科の病気で、女性に多くみられます。原因としては、免疫異常、金属アレルギーなどがいわれていますが、現在では扁桃病巣感染症が強く関与していると考えられています。
 IgA腎症は、初期には血尿と浮腫(むくみ)程度しか自覚症状がありません。しかし、長期にみると進行性の病気で20〜40%が腎不全になります。IgA腎症の20〜30%は、扁桃炎に代表される上気道炎を契機に発症し、尿症状の悪化を繰り返します。
 胸肋鎖骨過形成症では、鎖骨、胸骨、肋骨関節が腫脹(しゅちょう)し、痛みを伴います。これも女性に多い疾患です。

検査と診断

 診断には自覚症状、局所所見、血液検査、尿検査のほかに、扁桃と二次疾患の関係を調べることが必要です。これには扁桃をマッサージして、体温の上昇、白血球の増加、尿蛋白の変化などが起こるかどうかを調べる扁桃誘発試験があります。ただ、検査結果が陰性であっても、扁桃摘出により疾患が改善することがあるので、判断に注意が必要です。

治療の方法

 治療は、病巣感染の原因となっている口蓋扁桃を摘出(コラム)します。手術により、掌蹠膿胞症では皮診の改善、消失が80%以上、胸肋鎖骨過形成症では疼痛改善が81%、IgA腎症では尿蛋白の改善が50%以上にみられます。