睡眠時無呼吸症候群、いびきとはどんな病気か

 無呼吸とは、10秒以上呼吸が止まってしまうことをいいます。睡眠中に、この無呼吸が1時間に5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上ある状態を、睡眠時無呼吸症候群といいます。
 いびきは、睡眠中にのど(気道)が狭くなって、空気が通る時にのどが振動して音が鳴る状態です。

原因は何か

 睡眠時無呼吸症候群やひどいいびきは、生活習慣病と深い関連があります。扁桃肥大(へんとうひだい)は、その原因の約20%程度を占めています。
 子どもでは扁桃肥大がいびきや睡眠時無呼吸の主原因ですが、大人でも扁桃肥大が原因でいびき、睡眠時無呼吸となることがあります。一見したところ扁桃が大きくなくても、実際には肥大した扁桃が隠れて見えない場合があるため、耳鼻科での診察が必要です。
 いびきや睡眠時無呼吸が、肥満と関係することはよく知られています。しかし、肥満でなくてもいびき、睡眠時無呼吸の人がいます。いびきや睡眠時無呼吸には、(1)肥満、(2)アルコールの飲用、(3)扁桃が大きい、(4)上向きでの睡眠、(5)下あごが小さい、(6)加齢、(7)鼻づまりなどの要因が関与しています。
 アルコール摂取は、寝つきをよくしますが、筋弛緩(きんしかん)作用のために気道が狭くなり、睡眠時の呼吸障害をもたらします。さらに気道を狭くする要因として、前述したように肥満があげられます。肥満では外側に向かって太るだけでなく、内側(とくに舌根部(ぜっこんぶ))にも脂肪がつくため、気道が狭くなります。
 睡眠時無呼吸は40代から増加してきます。これは、加齢により気道周囲の筋力や組織の弾力性が低下して気道がつぶれやすくなるからです。
 いびきや睡眠時無呼吸症候群は、こうした原因が単独または複合して、気道が極端に狭くなり、閉塞して換気ができなくなることで起こります。

症状の現れ方

 睡眠時無呼吸症候群の症状としては、いびきと無呼吸がまずあげられます。覚醒(かくせい)している時には、気道周囲の筋肉の緊張が保たれており、無呼吸になることはありませんが、眠ってしまうと緊張がなくなり、気道が閉塞(へいそく)して無呼吸になってしまうのです。換気ができなくなるため、寝息すら聞こえなくなります。
 しかし、狭くなった気道を通して呼吸しようとするため、間断なく呼吸努力が続けられます。そのうち、低酸素状態で苦しくなると覚醒反応が起こります。覚醒すると、気道周囲の筋肉の緊張がもどるので呼吸が再開します。その換気の際にいびき音が発せられます。
 無呼吸の時に、センサーを使って呼吸努力を測定すると、覚醒時の5〜10倍以上も苦しい呼吸になっています。いいかえると、運動しながら寝ているようなものです。
 このため、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは寝汗をかきます。また、口呼吸をするため、起床時に口内はからからに乾燥してしまいます。その結果、起床時に疲労感があります。さらに、頻回に覚醒反応が起こると睡眠障害となるため、起床時の頭重感(ずじゅうかん)、日中の眠気などが出てきます。
 このような睡眠中の呼吸障害が長期にわたり、無呼吸によるストレスのために交感神経緊張状態が長く続くと、高血圧や心疾患を合併する危険性が高くなります。また、眠気による交通事故率の増加や、近年話題になった新幹線運転中の居眠りのような事故の原因にもなります。

検査と診断

 表3に睡眠時無呼吸症候群に関する質問項目をあげています。質問項目Iのほとんどの項目で1または2を選んだ人で、質問IIの眠気点数が11点以上の人は睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるので、医師に相談してください。
 確定診断には、睡眠ポリグラフ検査が必要です。これは、寝ている時の脳波、呼吸運動、動脈血の酸素飽和度、体位、心電図などを記録解析するものです。
 簡易的に、寝ている際の呼吸運動、酸素飽和度、睡眠体位、いびき音を記録できる装置で診断することもあります。ただし、この装置だけでは十分な診断ができないことがあるため、時期をみて専門施設でのポリグラフ検査が必要です。

治療の方法

 睡眠時無呼吸症候群には前記の(1)〜(7)などのさまざまな原因があるので、個々に応じた治療が必要です。
 代表的な治療法としては、減量、扁桃の手術、鼻の手術、鼻からマスクで空気を流すシーパップ(CPAP)、眠る時にマウスピースを装着するなどの方法があります。