喉頭がんとはどんな病気か

 肺がんと並んで喫煙歴と高い相関があるがんです。日本では外国ほど多くはありませんが、10年前と比較して徐々に増加してきています。とくに女性で増加しており、これは女性の喫煙率の増加と相関があると考えられています。
 また、喫煙歴のない患者さんも少数いますが、この場合は胃液などの逆流による慢性刺激が誘因として考えられています。食生活の欧米化に伴って胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)が増えていることから、今後、日本でも喉頭がんの増加が懸念されます。

原因は何か

 喫煙との因果関係が明らかになっています。また、飲酒歴や胃食道逆流症の影響も指摘されています。とくに胃食道逆流症に関しては、放射線治療中や治療後の状態にも影響することが報告されているので、喉頭がんと同時に胃食道逆流症の治療を行う必要のある場合があります。

症状の現れ方

 がんが声帯に発生した場合、声がれで発症し、比較的早期に発見されることもあります。しかし、声帯より上方もしくは下方にがんがある場合、必ずしも声の症状を呈してこないので、時に無症状のまま腫瘍が増大し、気道狭窄(きょうさく)、嚥下(えんげ)困難などの症状で発見される場合もあります。

検査と診断

 まずファイバースコープでがん病変の有無と、がんの浸潤によって声帯運動障害や反回神経麻痺が起こっていないかをよく観察します。小さながんや粘膜下に広がるがんで通常のファイバースコープでは判別できない場合は、NBI(狭域帯)内視鏡やストロボスコピーによる観察が有用です。
 病変部の一部を切除し、病理検査によって最終診断を行います。その後、CTやMRIにより腫瘍の周囲への浸潤や転移の有無を調べます。また、喉頭がんと同じく喫煙、飲酒などの生活習慣に関係する肺がん食道がん胃がん口腔がんなどの重複がないか、胸部CT、上部消化管内視鏡、食道造影、PET(ポジトロン放出断層撮影)、ガリウムシンチグラフィなどで必ず確認します。

治療の方法

 喉頭がんの多くは放射線感受性の高い扁平上皮(へんぺいじょうひ)がんです。小さながん、周囲への浸潤がないがんでは放射線治療でかなりの確率で治ります。レーザー治療も同等の有効性があります。両者の違いとしては、一般に放射線治療は6週間程度必要で、レーザーは1日で治療が行えますが、治療後の音声は放射線治療のほうがよいとされています。
 放射線やレーザーで治療しきれない場合には手術を行います。多くの場合、喉頭全部を摘出します。この場合には声を失い、前頸部に呼吸のための孔(あな)をつくります。ただし、術後に食道発声や人工喉頭により会話ができるようになります(コラム・無喉頭のリハビリテーション)。
 病変の状態によっては喉頭の一部を切除する部分切除の適応となり、この場合は声はある程度保存されます。部分切除後には、食事の誤嚥(ごえん)などの問題が起こることもあるので、年齢や体力、合併症も含めて慎重に考慮します。
 手術が行えない場合には、放射線と抗がん薬治療を同時に組み合わせて行う場合もあります。

喉頭がんに気づいたらどうする

 声がれが1カ月以上続く(とくに愛煙家)場合には、必ず専門医の診察を受けてください。また、がんが声帯にない場合は声の異常が出にくいので、飲み込む時に引っかかる、呼吸が苦しい、喘鳴(ぜんめい)(ぜーぜーした呼吸音)があるといった場合も、早めに診察を受けてください。