食道良性腫瘍とはどんな病気か

 食道良性腫瘍のなかで治療の対象となるものは比較的少なく、無症状のものが多くを占めます。
 その種類には平滑筋腫(へいかつきんしゅ)、ポリープ、血管腫、乳頭腫、脂肪腫、嚢腫(のうしゅ)、顆粒(かりゅう)細胞腫、リンパ管腫、線維腫などがあります。正常上皮におおわれた粘膜下腫瘍の形態を呈するものもあります。

症状の現れ方

 大部分は無症状で経過します。多くは健診診断時の上部消化管造影や内視鏡検査で偶然発見されています。また、剖検例で発見されるものもあります。
 4〜5cmを超える大きな腫瘍の場合に、嚥下(えんげ)困難、圧迫感や胸やけが認められることがあります。また、腫瘍の表面に潰瘍を形成して出血を来すものもあります。血管腫も多くは無症状ですが、まれに大量出血を来すことがあります。

検査と診断

 診断にはバリウムを用いた食道造影、食道内視鏡検査、食道超音波内視鏡検査が行われます。また、内視鏡下生検組織診によって確定診断をします。しかし、粘膜下腫瘍の形態を示す腫瘍は非腫瘍性上皮におおわれているため、生検では腫瘍成分が採取されない可能性があり、組織診断ができないこともあります。
 平滑筋腫、脂肪腫、線維腫、顆粒細胞腫は、粘膜下腫瘍の形態を示します。乳頭腫は、乳頭状隆起または有茎性(ゆうけいせい)腫瘍として認められます。また、血管腫は比較的平坦なポリープ状で、青色を帯びた平滑な隆起として認められます。
 鑑別診断としては、食道がんや肉腫のような悪性腫瘍と、他の縦隔(じゅうかく)腫瘍による食道の壁外性圧迫などが挙げられます。


 以下に代表的食道良性腫瘍である平滑筋腫について述べます(図13)。
平滑筋腫
 食道良性腫瘍のなかで発生頻度が最も高く、約70〜90%を占めます。その発育形式によって腔内型、壁内型、壁外型に分類されます。表面が平滑な半球状または卵円型を呈することが多く、粘膜下腫瘍の形態を示します。内視鏡検査ではヨードに染色されます。
 また、組織学的には、発生起源から粘膜筋板(ねんまくきんばん)由来型と固有筋層由来型に分類されます。生検または切除組織では、腫瘍細胞は紡錘型(ぼうすいけい)を示します。

治療の方法

 生検組織診によって良性腫瘍と診断されたもので無症状の症例については、その多くが無治療で経過観察されます。
 増大傾向のあるものや確定診断が得られないものでは、切除術が行われます。上皮性腫瘍の場合やサイズが小さな症例は内視鏡的切除術によって摘除します。
 平滑筋腫のように粘膜下腫瘍の形態を示すものは、小さなものでは内視鏡的に切除しますが、大きなものは開胸または胸腔鏡下での核出術を行います。
 血管腫は、出血の危険性のある大きなものについては、内視鏡的硬化療法や外科的治療が行われます。