食道非上皮性腫瘍とはどんな病気か



 非上皮性腫瘍とは、食道粘膜の下に発生母地(ぼち)がある腫瘍をいいます。食道内腔に隆起として観察される場合と、食道壁の外側に発育する場合、そしてその中間の発育を示す場合があります(図17)。

症状の現れ方

 食道非上皮性腫瘍では、腫瘍の表面が平滑なため、嚥下(えんげ)障害などの症状を訴えることは少なく、多くはドック検診のバリウム造影検査や内視鏡検査で発見されています。

検査と診断

 食道腫瘍には、良性のものと悪性のものがあります。多くの非上皮性腫瘍は良性であり、腫瘍の表面に正常な扁平上皮(へんぺいじょうひ)がかぶっています(粘膜下腫瘍ともいいます)。
 問題となるのは、腫瘍の表面に潰瘍の形成や不整な凹凸を認めるもの、また経過観察中に腫瘍の増大傾向がみられる病変で、このような状態では悪性腫瘍を疑います。頻度は少ないものの、悪性の食道非上皮性腫瘍としては、平滑筋肉腫(へいかつきんにくしゅ)、悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)、悪性リンパ腫、横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)があります。悪性のものでは、腫瘍の大きさや、その急速な増大傾向から、嚥下困難などの通過障害を訴えることが多くあります。
 良性の食道非上皮性腫瘍として頻度の高いものには、平滑筋腫、嚢腫(のうしゅ)、脂肪腫、血管腫、顆粒(かりゅう)細胞腫などがあります。それぞれの疾患は、内視鏡で見ると特有な形態を有しています。


 非上皮性腫瘍の治療を考える時に大切なのは、その腫瘍が食道上皮下のどの部位から発生しているのか、その発育の仕方が図17のどの型に属するのか、そしてその組織診断の結果はどうなっているのかということです。
 腫瘍の発生部位の診断には、食道内腔から行う超音波内視鏡が最も適した検査法です。腫瘍の外側への発育形態を知るには、CTやMRIによる検索が有用です。腫瘍が上皮下直下にあると診断された場合には、内視鏡を使って腫瘍の表面を電気メスで削(けず)り、腫瘍表面を露出させて繰り返し組織を採取するボーリング生検が行われることもあります。
 少し深部にある場合には、現在では食道の内腔面から超音波内視鏡で病巣の発生部位を同定したのち、超音波内視鏡の観察下に、特殊な穿刺針(せんししん)を目的病巣に刺し入れて組織を採取する方法が選択されることもあります。

治療の方法

 固有筋層由来の腫瘍でなければ、食道内腔から内視鏡的に切除が可能です。この際に最も重要なのは、腫瘍の発生部位と、腫瘍の主座の同定です。
 食道内腔面に発達・発育する腫瘍であれば、粘膜下層に生理食塩水を注入して膨隆(ぼうりゅう)させ、内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行います。発育が壁外に目立つ腫瘍では、最近では胸腔内に3〜4箇所からトロカー(手術操作に必要な細径の器械を挿入する孔)を挿入し、内視鏡下手術が行われることが多くなっています。
 多くの食道非上皮性腫瘍は良性であるため、経過観察になることが多いのですが、最も重要なことは、経過観察中に腫瘍の増大や形態変化(とくに腫瘍表面の凹凸)を認めた場合であり、その際には悪性を疑って積極的に切除治療を考えます。